back

ツヅキック(都築龍太の試合分析)

top
リーダーシップを発揮できる選手が誰もいない。修正できないレッズが露呈した(J1第34節・横浜FM戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:0月18日(土)に日産スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ第34節、横浜Fマリノス戦は0−4でレッズが敗れました。

都築:チャンスも作れなくて、簡単に失点するという最悪の試合になりましたね。メンバーを変えた意図もいまいちわからなかったですし、大久保智明選手や早川隼平選手はもっとアグレッシブにプレーするべきだったと思います。

それが見えないからお客さんも不満だっただろうし、意識の問題ですよね。試される権利もないというか。牲川歩見選手にしても、厳しいことを言うと大事な試合でなかなかいいプレーができず勝てていない。この先厳しいんじゃないかという感じもあります。

彼がクロスを落としてPKになったシーンも普通というか、練習でミスしたシチュエーションが試合で出ているような感じでした。チーム全体的もそうでしたが、前半で4点取られても後半何もない。そういう意識のチームなのかなという試合でした。途中から応援がなくなってしまったのも理解できます。

トライしないというか、シュートチャンスを作れないのも問題ですが、どうにかもっていこうという意識も見られない。戦っていない感じがかなり見えた試合でした。これがレッズなんだからしょうがないのかな。

ただ、そうなった最初の原因は根本健太選手のあのシーンからです。前回の試合は良かったけど、今回はミス1本で試合が決まってしまった。若いから、あまり出場していないからやってもいいというミスではないです。アグレッシブにやってのミスなら仕方ないですが、不注意によるミスですから。

あそこで全体的に気持ちが切れた感じがありましたし、失点シーンがすべて軽かった。2点目のCKも、牲川選手が出れたと思います。ジョルディ・クルークス選手のキックは速いし難しいとは思いますが、それでもあの距離は出てもらわないと。ゾーンで守っているのにあそこでGKが出ないのだったら、マンツーマンにしたほうが良いと思います。

周りが普通の反応なのも残念ですね。失点に対して、ミスに対しての厳しさがない。3失点目のPKにつながったシーンは、キャッチできないならパンチングにしないといけません。2点目と3点目はGKがかなりポイントになりました。

4失点目もシンプルで、CKのこぼれ球をワイドに使われて、追いつけずにクロスを上げられたのは仕方ないかもしれませんが、中の選手が誰もセカンドラインを見ていなかった。唯一見ていた根本選手も何もしなくて、あれでは失点してしまいす。

自滅の失点ばかりで、チャンスもなかった。イサーク・キーセ・テリン選手も起点になれず、周りもサポートできない。大久保選手と早川選手の距離感もわからず、マテウス・サヴィオ選手が仕掛けてもまったく怖くなかった。

セカンドボールも全部拾われていましたし、0−4のスコアは妥当だったと思います。後半はメンバーを少し変えましたが、攻撃のところでは何も見えなかった。点が入らないにしても姿勢は見せないといけません。
まして、決してマリノスがいい状態ではなかったのにあそこまで自滅してしまうのも、浦和レッズだなという感じがします。非常に残念ですし、何を修正したらいいのか。一人のひとりの意識くらいしかないと思います。戦える選手が一人もいなかったですし、来シーズンに向けて考えないといけません。

立て直せなかった監督も大問題です。試合中はピッチの中でやらないといけない部分もありますが、どういう試合の入り方、モチベーションでやっているのか、この試合は特にわかりませんでした。

RP:都築さんも何度か指摘されていますが、こういう時にリーダーシップを発揮できる選手がいない印象です。

都築:誰もいないですよね。挙句の果てにはいらいらして、警告や退場をもらってしまった。チーム状態を表している感じなんですかね。話は逸れますけど、クルークス選手はクロスマシーンとして良い選手なので、イサーク選手も生きそうだから獲ればいいんじゃないかと思います。カットインしてからのクロスはかなり嫌でしたね。

修正できないレッズが露呈してしまって、何とコメントしていいか。サポーター目線みたいなことしか言えない。もっとしっかりやってくれとしか意見がないですね。


RP:次節はホームに戻って町田戦になります。

都築:あまり期待できないなというのはあります。次にいい試合をして勝ったとしても、そのときに喜ぶだけで先の期待が出来ないなという感じの、それくらいショックな敗戦でした。逆に、次にいい試合ができたら「何だったの?」と思ってしまいます。ある程度サッカーをやってきた人間とすると。

残りぜんぶで良い試合をしてくれれば、この試合はたまたまだったんだと思えますが…この試合を見てしまうと、またこうなりそうだなと。それくらい重い試合だったと思いました。

立て直しを期待するのも酷かなと思います。今季は試合中に何かがかわるというのがあまりなくて、良いときは最後まで良いし、悪いときは最後まで悪い。試合の流れが読めない、修正できないというのは選手の問題でもあるけど、監督の責任も大きいと思います。そういう雰囲気をつくっているということにもなりますから。

あえて厳しいことを言うと、来年どうなるかもわからない状況で、前後半でまったく違うサッカーをできるような、信頼もあって修正できる監督のほうが良いと思いますし、いまのメンバーでいまの監督であやるのは難しいんじゃないかと思ってきました。

そこはクラブの判断ですけど、良かったときはいい守備からというチームでしたし、そういう選手が揃っているわけですから。パフォーマンスを出せない選手たちも、出させることができていない監督も問題です。

RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
・・・・・・
会員登録はこちら

都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS