浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。
都築:終始ボールを支配していて、常にレッズのペースの試合だったと思いますが、決定機を決め切れずに先制点を与えてしまいました。その後はまたレッズが支配して、逆転までいったのはよかったとは思いますが、相手が引いてきたときの崩しはまだ課題がありますね。
RP:レッズがボールを握り続けていましたが、ややペースが落ちてきたところで43分に先制されました。
都築:鈴木武蔵選手のヘディング(前半33分)くらいから、プレスが効かなくなっていましたね。新保海鈴選手のクロスというシンプルな攻撃でしたが、中の人数はいながら鈴木選手に間に入られてマークにつけていませんでした。
失点シーンは西川選手のフィードのこぼれ球を拾われたところからでしたが、展開されてずるずる下がって、安居海渡選手の対応も軽かったかなと思いますし、ルキアン選手に簡単に打たせ過ぎましたね。
自分たちがボールを持っているときに、守備の備えも含めてどこまで集中できるかは重要です。クラブワールドカップでは少しでも隙を見せたらやられるでしょうし、失点シーンとその前のプレーは不要でしたね。
ただ、サミュエル・グスタフソン選手の同点ゴールのシーンはすごく効果的でした。自陣のビルドアップから、西川周作選手、金子拓郎選手、石原広教選手とつながりましたが、金子選手から石原選手のところで前を向けたのがまずポイントでした。この崩しは最高でしたね。シュートのあとは「えっ?」と思いましたが、あそこまで崩し切るシーンはこれまであまり見られませんでした。
いい攻撃だったと思いますし、1本1本のパススピードも速かった。ああいう形がどんどん出てくれば、相手がブロックを敷いて守ってきても崩せるというのが見えたと思います。クラブワールドカップではもっと速くないと掻い潜れないと思いますが、形は見えたのかな。
前半の最初の荻原拓也選手のチャンスもそうですが、ピッチを広く使えばいい形ができます。松尾佑介選手が抜け出して、という5連勝中のよく見られたシーンは減ってきていますが、攻撃のバリエーションは増えてきているのは良い兆しだと思います。
ただ、グスタフソン選手はいい捌きをしていましたが、ボールを持っているときに悩むシーンが多かったと思います。松尾選手もスペースがあればいい動き出しができるのですが、相手を背負っているとバイタルまで行って止まって、じゃあどうしましょうとなります。
それでも、後半は厚みのあるいい攻撃がけっこうできていたと思います。チアゴ・サンタナ選手の最初のシュートも、こぼれ球を拾われたのを奪い返してからでした。遅攻になっても人数がかけられているので、もうちょっと工夫すればもっといい攻撃ができると思いますし、セレッソがレッズにやってきたようなプレーは参考になると思います。
RP:そして83分に逆転しました
都築:2点目はセットプレーからでしたが、サンタナ選手のシュートがポストに当たったあとも、グスタフソン選手が集中していていたということかなと思います。勝ち切ったことが何よりよかったですが、クラブワールドカップでどこまで通用するかですね。ポゼッションを握れる時間はあまり多くないと思いますから、カウンター攻撃のほうが生きるのかなとも思います。
連戦の中でここ2試合はベストメンバーだったと思いますが、途中出場の選手もモチベーション高くやれていると思います。ただ原口元気選手、関根貴大のベテランはもっとしっかり試合に入っていってもらわないと、出てくるのは彼らじゃなくてもいいのかなと思いますね。
この連戦は相当にきつかったと思いますから、休みを挟んでコンディションを整えると思いますが、モチベーションは高くやってもらいたいですね。決勝ラウンドに進めれば最高ですが、1試合でも多く戦ってレッズの力を試して欲しいですね。賞金も魅力ですが、どこまで通用するかが楽しみです。
RP:現時点では難しいと思いますが、グループステージ3試合の勝敗をどう予想しますか。
都築:1勝1分1敗でいけると理想じゃないですかね。インテルだけじゃなくリーベルも強いですが、1勝1分はしてもらいたいですね。戦える力はあると思いますし、インテル戦はわからないですけど、ぼろ負けすることはないんじゃないかな。
プレスも相当激しくなるでしょうけど、5連勝中のときのカウンター主体の戦い方が生きるんじゃないかと思いますし、どんなバリエーションでも戦えるような経験を積めているんはないかと思います。
RP:ありがとうございました。