浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。
都築:完璧だったんじゃないですかね。相手の左サイドは少し脅威でしたが、守備、攻撃、プレスやつなぎなど狙いどころは完璧だったと思います。攻撃はシンプルでしたが、相手の間にどんどん入っていって、町田がつかまえきれないというシーンが多くなっていました。
スピードのある選手が相手の嫌なところを狙って、ボールがこなくても動いて動きなおしてを続けていくことで、相手も嫌な感じで守りづらくなっていたと思います。チャンスになったシーンは中盤を飛ばしたロングボールが多かったですが、町田の距離感がよくなかったところをしっかり突けました。
2人目の動きで、落として仕掛けるを徹底していたと思いますし、2点取れたことが大きかったですね。セットプレーからマリウス・ホイブラーテン選手のうまい流し込みで、2点目は最短ゴールかという速さで、西川周作選手から渡邊凌磨にパスが出た瞬間に松尾佑介選手が裏を狙っていました。
町田が正面を向いてディフェンスできないシチュエーションを常に作っていたので、追いかける動きが多くなっていました。相手のいやなところを徹底的に突けていました。個々の1対1のところもほぼ負けていなくて、オ・セフン選手に何本か起点をつくられたり相馬勇紀選手からのクロスはありましたが、守備の意識が高かったと思います。
今回のフォーメーションはよかったんじゃないかと思います。サミュエル・グスタフソン選手はあまり前に行かずに受けて捌いて相手を動かしていて、試合を落ち着かせるプレーも多かった。勝っている状態なのでそこはよかったと思います。もうちょっと前を向ければとも思いますが、十分だったと思います。チームとしてもオーガナイズできていていました。
町田があまりプレッシャーにこなくて、らしくなかったところもありましたが、前半はほぼレッズのペースだったと思います。
RP:リードしたこともあり、後半は押し込まれるシーンも少し増えてきました。
都築:守る時間は増えましたが、最終的なところはしっかり守れていました。長沼洋一選手のミスからもっていかれたシーンは不要でしたが、そこ以外は想定どおりに守れていたんじゃないかな。押し込まれてはいたけど、攻めさせていた面もあったと思います。長い時間2点リードするのは今季初めてでしたが、ゲームコントロールもよかったかなと思います。
この試合は松尾選手が縦を徹底していたのが良かったですが、チアゴ・サンタナ選手は左に流れがちでした。松尾選手はシンプルながら動きもよかったと思いますし、点も取りました。試合に向かううえでのマチェイ・スコルジャ監督のプレッシャーの持っていき方などもよかったんじゃないかと思います。
この試合に関してはほめるところしかないですね。悪いシーンがなかったわけではないですが、そこで何かが起きたわけではなかったですし。相手ボールの時もゲームコントロールができていた印象がありました。
縦に速かったのでSBの上りが少なく、個人頼みになってしまうところはありましたが、マテウス・サヴィオ選手のドリブルに松尾選手がしっかり着いて行って数的優位を作ろうという動きもありました。これが遅いプレーだと構えた状態の相手に攻めないといけないので、そうなると町田も強い。相手のいいところを消せていましたし、ラインを高く保ててセカンドボールを拾えていたのもよかったと思います。
RP:松尾選手の1トップなど初の組み合せもありましたが、これを続けていくべきでしょうか。
都築:そう思いますが、引いて守ってくるアビスパのような相手にも生きるかどうか。町田は攻めてきてくれたし、切り替えも遅かったのではまりましたが、松尾選手が抜けるスペースがないチーム相手にどうするかですね。裏に抜けても抜けきれなくて、バイタルまでいってもクロスしかないとなると、今度は「サンタナ選手が欲しいな」となると思います。
ただ、渡邊選手、安居海渡選手、グスタフソン選手の中盤はポイントになってくると思います。これくらいの試合が常にできれば良いと思いますが、中盤3人の関係がフィットしてくれば継続できるんじゃないかと思いますね。
RP:そういう意味では、次節の京都はアグレッシブにくるので継続するのがいいかもしれません。
都築:プレッシャーは強いですが、逆にやりやすさもあると思います。縦に速いサッカーで、この試合のレッズにちょっと似ています。前の選手のスキルが高いですし、オープンな展開が増えそうです。せっかく良い試合をしたので、次戦でまた元に戻ったということがないようにしてほしいですね。
RP:ありがとうございました。