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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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縦に速いサッカー、その質が非常に高くなっている(J1第1節・神戸戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:2月15日(土)にノエビアスタジアム神戸で行われた明治安田生命J1リーグ第1節、ヴィッセル神戸戦は0−0の引き分けに終わりました。

都築:攻守ともに、すごく良かったと思います。縦に速いサッカーになっていると思いますが、その質が非常に高くなっています。前目の選手に、ボールを持ったら前に前にという選手が多いので、見応えがあります。そうしたサッカーをやろうとしているのはすごくわかりました。

特にマテウス・サヴィオ選手がアクセントになっていましたが、もうちょっと人を使えればさらに良いのかなとも思います。前の選手の動き出しも増えているので、昨季までと違うより攻撃的な戦い方をするんだなと、観ている人たちも感じたのではないかと思います。

もうちょっと落ち着いてつないでもいいかな、というシーンはありましたが、攻撃をやりきっていたので、奪われてカウンターというシーンはほとんどありませんでした。悪いボールの失い方や攻撃の終わり方をしていなかったところもよかったです。2列目の選手たちは運動量も非常に多いですし、仕掛けられる選手もいるので、あとは点を取るところですね。

縦に速い選手たちがいる中でも、荻原拓也選手が後ろから追い越して攻撃参加していましたし、左サイドはバリエーションが見えました。ただ強いて言えば、サンタナ選手がやはりもったいない。

セットプレーのヘディングで惜しいシーンはありましたが、ポストプレーはほとんどなかった。右サイドからクロスを狙っているシーンはありましたが、もっとサイドを使ってからのクロスのバリエーションがあれば、もっとよくなるんじゃないかと思います。この試合のサッカーだとちょっともったいない感じがありました。

守備のほうは、セットプレー以外では危ないシーンはあまりなかったですね。守備の意識も高くて、特に安居海渡選手が、みんながいけいけになっちゃうときにバランスを取ってよく守っていたと思います。

ほとんど目立たなかったと思いますが、ワンボランチ気味の中でよく抑えていました。渡邊凌磨選手との関係は今後も大事になってくると思います。お互いあまりビルドアップがない試合で、安居選手はそこまで攻撃に絡まないながらバランスを取ってやれていました。

ひとつ気になったのは、関根貴大選手があまり前に行けなかったことです。守備を意識していたのかなとは思いますが、バランスを見て、左から攻めれるなら右サイドはステイでもいいんですけど、両サイドからどんどん攻め上がれたらより良いかなと思います。チームとしてもバランスを考えていきたいですね。

RP:サヴィオ選手を筆頭に、2列目は3人とも新加入の選手でした。

都築:金子拓郎選手も松本泰志選手も、一人は剥がせる力を持っています。だからこそこういう速いサッカーになっていると思いますが、どんどん仕掛けて行ってくれればと思います。

あとはどうやって点を取るかですが、もうちょっと相手ゴールの近く、バイタルエリアやぺナルティボックス内で勝負できる形を作っていきたいところです。一人が局面を変えることができて縦に速いぶん、周りに人がいないシーンもあるので、人数をかけられれば。

もう一つは、シュートはすごく多かったのですが、開幕戦だからという気負いもあったと思いますけど、他の選手を使えそうなシーンもありました。周りを使うところがもうちょっと出てくれば面白いと思います。

とはいえ、この試合はトータルで見てレッズのほうが強かったと思います。ただ、神戸がよくなかったというか、あまり前にこなかったのはありますし、守備の細かいところでマークが外れていた場面もあったので、そこは修正したいです。

RP:キャンプ最終盤に合流したダニーロ・ボザ選手がいきなりスタメンでした。評価はいかがですか

都築:まだ1試合見ただけなのでちょっとわかりませんが、足は速いということですし体も強そうです。押し込まれたときにどういうプレーができるのかは見られなくて、待ち構えてというよりも前に出てアグレッシブに守備をする選手だと思います。

攻撃参加は状況を見ながらという感じですが、足元はめちゃめちゃうまいという感じではなかったです。しかし堅実に無理のない範囲でビルドアップしそうなイメージです。最後の局面で体を張ったり、攻撃のセットプレーは得意そうな感じがありますね。

なんにせよ、個人だけでは守れないので、西川周作選手やマリウス・ホイブラーテン選手との連携を高めていってもらえればと思います。しかしこの試合は本当に、ベンチも含めて充実している戦力なのかなと感じました。交代が少なかったのでもうちょっとしてもいいかなと思いましたが、今後が非常に楽しみです。

RP:次節は京都戦で、アウェー遠征が続きます。

都築:なんだかクラブワールドカップのことを考えてくれているようなスケジュールですよね。体力のあるうちにアウェーをこなしておくのは良いと思います。去年とはちょっと違って、楽しみなシーズンになりそうですね。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS