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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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内容的にも力負け。モチベーションの差が出た(ルヴァンカップ3回戦・長崎戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:5月22日(水)にトランスコスモススタジアム長崎で行われたYBCルヴァンカップ3回戦、V・ファーレン長崎戦は0−1の敗戦となりました。

都築:残念ながら、力負けでしたね。非常に難しい試合だったとは思います。相手はメンバーを全部入れ替えていて、レッズは4人くらいでしたかね。そこがまず、やりづらかったのかなとも思いました。

長崎は途中交代で主力の外国籍選手などがどんどん入ってきて、彼らが入ってからの長崎はやっぱり、力があるなと感じました。最初から向こうもフルメンバーできてくれれば違ったと思いますが、途中から入った選手が要所要所で効いていました。特にマテウス・ジェズス選手が入ってからサッカーが変わって、長崎のサッカーはこういうものなんだなというのがわかった感じでした。ひとりで二役くらい出来る選手ですね。

そうしたことから、最初からお互いがっちりという感じではなかったのでモチベーション的にも難しかったのかなと思います。相手がメンバーを落としてくると意外と難しくなるので、いい入りが出来なかった要因の一つだったと思います。

相手のターンオーバーを突けなかったのと、モチベーションの差がやっぱり出てしまいました。長崎からすると「勝てれば」で、レズからすると「勝たないと」という試合になります。長崎の前線の選手は推進力がありましたが、普段対戦しないチームなので分析もそこまでできなかったと思いますが、戸惑いながら試合に入ってしまいました。

決定的なピンチはほとんどなかったと思いますが、攻撃の質では、長崎のほうが可能性を感じさせるプレーが随所で見られました。酒井宏樹選手が置いて行かれたシーンなど、特に1対1の局面で負けてしまっていたのは残念でしたね。

全体的に、選手の距離感も良くありませんでした。ビルドアップのときに安居海渡選手がDFラインに入っていることが多すぎて、逆にアレクサンダー・ショルツ選手がそこまで上がってバランスを崩す必要があったのかなと。カウンターを受けるシーン、クエスチョンがつくようなバランスの崩れたプレーがけっこうありました。

前田直輝選手などが勝負を仕掛けて、後半は何本かいいシーンもありましたが、大きなチャンスがあったのは失点したあとでした。一人少ない長崎のほうがいい攻撃ができていましたし、歯がゆさがありましたね。

チャンスを作れて形になっているのであればいいのですが、ショルツ選手が上がって安居選手がそこをカバーしたときに、安居選手がいたところへのカバーがありませんでした。長崎の選手が狙っていたというよりも、中盤のど真ん中に残っていたらたまたまスペースが空いていたみたいな感じになっていました。

あれを前半から、しかも0−0の状況からやるのは効果的ではないなと思いますね。そこまでバランスを崩して攻める必要があるのかなというのと、それでもフィニッシュまで行けていない。ショルツ選手が上がってシュートを打てたわけでもないので、それをピッチで選手が感じなければいけないと思います。

前線には興梠慎三選手が入っていましたが、残念ながらいるのかいないのかわからない状態でした。ボールを受けるシーンがそもそもなかったですし、相手がブロックを作っているところへの仕掛け、磐田戦で見られたような崩したようが見られなかったのは残念でした。

RP:交代で打開を図る中、オラ・ソルバッケン選手が浦和デビューとなりました。

都築:可能性は感じさせてくれました。サイドアタッカーというボールの持ち方で、大柄だけどスピードもあります。ただ、中に入っていってパスを受けてさばいてるシーンもあって、それは彼には必要ないんじゃないかなと思いました。連携などを含めてまだまだこれからですね。

RP:その後、相手が退場した直後に失点してしまいました。

都築:試合を通じて、レッズがどうしたいのかビジョンが見えなかったのというのと、一人少なくなってからのほうが長崎がよくなったのが残念でしたね。まず、大畑歩夢選手のヘディングが相手に渡ってしまったのと、周りの選手が「フリー」と声をかけてなかったのかな。

大畑選手からすると、フリーすぎてどうすればというプレーだったように見えました。周りが声をかけてあげていればヘディングではなくてトラップできたと思いますし、トラップしていれば何も無かったですし、プレッシャーにいける相手選手もいませんでした。

長崎からしても放り込んだだけのボールに見えたので、GKに戻すこともできたと思いますし、こうした声掛けなどができていないのは致命的です。中のマークも、佐藤瑶大選手がフアンマ選手に前に入られてしまいました。

ひとり多い中で、悪いほう悪いほうに流れてしまっての失点をしたことも含めて、力負けだったのかなと思います。2人で挟もうとする距離感も遠かったですが、酒井選手がドリブルでぶっちぎられたのも衝撃的でしたから。

ああして酒井選手がやられてしまうのも、相手をなんとなく甘く見ていたのかなと思ってしまいます。ただ、長崎の選手の質は高かったと思います。特に前の選手の推進力、仕掛けるタイミングや力はありました。そこをわかったうえで戦ってなかったんじゃないかなと思いました。

何にしても、トーナメント戦は結果なので、負けてしまったら何もないということになります。終盤は相当オープンな展開になって、決まっていればというチャンスがレッズにもありましたが得点には至らなかった。内容的にも力負けしたなという感じです。長崎を見ていると、J2のレベルも高くなってきているのかなと感じました。


長崎のマテウス・ジェズス選手は攻撃も守備もできて、試合を読める選手という感じなので欲しいですよね。それはともかく、負けたという現実だけが響きそうな試合だったので、切り替えないといけません。これでもう残るはリーグ戦だけなので、集中できると思って切り替えるしかないですから。

RP:ちょっと心配になる試合のあとで、次節は首位の町田と対戦します。

都築:僕が見ていた範囲では、町田は強いけれどやっていることはシンプルなので、やりやすい相手でもあると思ってました。言ってみれば、昔の国見高校みたいなサッカーをしています。ターゲットになる選手、オ・セフン選手やミッチェル・デューク選手を押さえて、その周りで連動して入ってくる選手をつかまえていればと。

ただ、ルヴァンの鹿島戦ではこれまでと違う得点もありました。うまくつないで崩した得点で、バリエーションを見せてきています。それでも、メインは前線で起点になる選手に当てて、落としてはたいて運動量の勝負というシンプルな攻撃です。
そこで負けてしまうとピンチになりますが、ショルツ選手、マリウス・ホイブラーテン選手ならある程度抑えられると思うので、その周囲を動く選手をしっかりケアできるかですね。

シンプルで効率的で、このまま勝ち続ければ、時代が一周回って逆に主流になりそうなサッカーでもあります。勝点をとって首位にいるチームなので警戒は当然必要ですが、やりやすいチームとも言えます。

やってみないとわからないところもありますが、先制するとしっかり守りを固めてくるので、まずは失点しないことですね。ここで首位を叩いておけば、また勢いにも乗れると思います。

RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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