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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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攻撃に急ぎ過ぎているのか、起点というか前でタメる選手がいないい(J1第2節・東京V戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:3月3日(日)に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ第2節、東京ヴェルディ戦は1−1の引き分けに終わりました。

都築:中島翔哉選手が入ってからは改善も見られましたが、内容も含めて残念でしたね。何というか、ヴェルディがよかったわけではないと思います。ヴェルディは守備ベースで考えていたのかなと思いましたが、レッズの攻撃が単調すぎて、ヴェルディに攻撃するスキを与えてしまった感じだと思います。

やっぱり、起点となる選手がいないですよね。チアゴ・サンタナが前で貯めてとか、酒井宏樹選手が右サイドでやりきるといったことが出てこないと。まず縦パスが入らないし、入ったとしても、相手が待ち構えているところにしか入らないので。受けて前を向いてという展開が1試合で2・3本しかなくなっています。

後半、中島選手が入ってからは、左サイドからカットインやいいクロスが入っていて、興梠慎三選手に合いそうになったシーンもありました。ヴェルディがいよいよ守りに入って、中盤でボールが持てるようになってからはチャンスがありましたけど、それまではなかなかいい形が作れませんでした。

なんでなのかな…。攻撃に急ぎ過ぎてるのか、起点というか前でタメる選手がいない。そこは改善していかないと相手も守りやすくなります。中盤で完璧に主導権を握れているかというと、そうではないので。どういうサッカーをするのかがまだ見えないです。

ミスも多いし、流れのある試合展開がなかなか見られませんでした。ボールを奪って前に攻めていく時も、一人がドリブルで運んで、動いた選手に合わせないといけませんが、動く選手もいない。

ちょっと評価しにくい試合で、ヴェルディにとっては、ラスト10分を除いてすごくやりやすい試合だったと思います。相手がどうこうというよりも、ボールを持ったときに味方が連動してないところがやりづらいんじゃないかなと思います。

ボールを失うタイミングも悪いですね。個人攻撃はあまりしたくないですが、小泉佳穂選手のところは、失点につながりそうな奪われ方が起きてます。もうちょっとボールを大事にして組み立てて展開したいですし、できていたことができなくなっているのがいちばんの問題です。

やるサッカーが変わっているのだろうとは思いますが、それが見えない以上は、やれていたことがやれなくなったという評価しかできないです。まだシーズン始まったばかりで難しさはあると思いますが、生き生きとしてないのは心配です。みんな、プレーごとに「なんでかな?」と首を振ってるような印象なので。

ここから改善していくとは思いますが、いまのところは見えないですね。サンタナ選手に何をさせたいのかもわからなくて、彼を生かすのであればサイドからクロスが武器になると思いますが、そのシーンがほとんどありません。

彼が点を取りたい気持ちはわかるんですが、二人で競りに行っちゃうシーンもありました。マリウス・ホイブラーテンが競りにいっているのが見えたら、真ん中に残っておきたいですよね。

RP:一方で、ピンチが少なかったとはいえヴェルディに振り回される時間もありました。

都築:ヴェルディがうまかったのは、ピッチを広く使っていたところですね。失点シーンにしても、CKでもレッズは左右に振られまくっていました。木村勇大選手のシュートはうまかったですが、そこに至るまでのヴェルディの攻撃がよかったです。

ディフェンスを動かして動かして得点チャンスをさぐるほうが、守る側からするとやりづらいです。そこで競り勝てないのも、いまのレッズの弱さなのかな。うまくいってないときほど、まず失点してはいけないのですが。

ヴェルディの守備を脅かすシーンが本当に少なくて、得点できる感じがなかったですよね。『レッズが攻めまくっているけどうまく守られてる』という感じでもありませんでした。何回かはいい抜け出しがあって、チャンスになっても中の人数が足りなかったり、足りないのにクロスを上げちゃったり、人数は揃っていたけどパスがひっかかったり。悪いときはそういう流れになりがちではありますが、課題は多いですね。

ただ、今回は選手交代が生きました。前回よりも早めに興梠選手を入れて、彼が中盤に下がってためたり、交代前よりはなんとなく形ができていました。中島選手も局面を打開するアクセントになっていて、大畑歩夢選手がPKを取ったシーンと、その前のシュートのシーンと、あの二人のコンビネーションは相手にとって怖かったと思います。

なんとか引き分けた試合でしたし、セカンドボールが獲れないですよね。まだ2試合目なので評価も難しいですが、もうちょっとやりたい形を表現してもらいたいです。

RP:次節はアウェイの札幌戦になります。

都築:ベースというか、監督がやりたいサッカーはキャンプでわかっているはずなのですが、それができてない。いまの感じだと、どんどん試合をやっていったほうがいいと思います。いまは間隔が空いて良くなる感じには見えないですね。

スタートダッシュはできませんでしたが、近年のJリーグ全体としてあまり影響ないので順位はまだ気にしなくていいと思います。まずは自分たちがやりたいサッカーを表現することが大事だと思います。

監督がメンバーを固定しそうでもあるので、どの選手がどう食い込んでくるのか見ものです。前が機能してない感じがあって、松尾佑介選手にしても、彼が活きるのはアジリティを生かしての攻撃だと思いますし、まだ足りないですよね。

サイドでも真ん中でもいいので、まずは起点を作って欲しいですね。できれば両サイドで起点が作れればいいですが。ヴェルディ戦では酒井選手がかなり前には行きましたが、あまり仕事ができませんでした。逆に左は何回か崩せたので、そこをバランスよく攻められればと思います。

RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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