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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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セットプレーの回数は多かったのに、得点できなかったのはもったいない(J1第10節・柏戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の田中直希記者です。


RP:4月25日(水)に行われた明治安田生命J1第10節の柏レイソル戦、オリヴェイラ監督の初陣でしたが0−1で敗れました。
都築:過密日程の中で戦っているのにもかかわらず、レッズの運動量は多かった。選手のモチベーションも、監督が変わって高かったと思う。柏も運動量が多かったので、両チームともよく走れていた。双方、モチベーションの高い試合だった。ただ、質のところ。余裕を持ってプレーできるときと比べると、プレッシャーが来てキツかった中での質は、多少落ちる。レイソルのほうが、効率よく運動量を出していた感じがする。

RP:
レッズの攻撃面の印象は?
都築:攻撃が縦に速くなってしまった。裏をとる動きはあった。それも、つなげなかったからなのかもしれない。前に急ぎすぎた感じがある。興梠慎三のいい動き出しがあり、そこにいいボールが出てきた場面はあるが、縦に急ぎすぎた。もっとボールを大事にしたほうがよかった。
柏の中川寛斗選手は、プレッシャーが速くててうまい。そこをかいくぐっていければチャンスになるが、なかなかできなかった。レッズならできると思うが…。特にチャンスになっていたのは左サイドでボールをつないでいるところからの展開。左サイドから、裏に抜け出た長澤選手にとおったときは、相手の中村航輔くんに抑えられた。左サイドからの大きな展開ができたときはチャンスになっていた。縦に急ぎすぎたのは、ピッチが滑ったのもあると思う。ロングボールを入れても、グラウンドが濡れていると難しいところはあるから。
ポゼッション率も負けていた。縦に急いでいてしまうと、ポゼッション率は下がる。もちろん高ければ勝てるというわけではないが、勝つ確率は高くなる。ペトロヴィッチのいいところを整理してやれればいいのだが…。

RP:
その改善策として考えられるのは?
都築:特にサイドからの攻撃が単調で、すべてにおいても攻撃が単調ぎみだった。興梠が抜け出して中村航輔くんのいいセーブあったが、あれもやりながら、サイドでも崩すところが出てくればいい。前半の流れとしては、ビルドアップのところでピンチになっていた。うまくつなげなかったのは西川選手だけの問題ではない。マウリシオのミスから、江坂選手にボレーを打たれたシーンもあったでしょう。そういう怖さもあって、西川選手や最終ラインから長いボールが増えた。受け手、出し手の関係もあるが、消極的になったかなと思う。レッズはGKからも組み立てられるところがいいわけで、もちろん、リスクもあるが。

RP:柏の圧力は本当に高く、継続もしていました。
都築:やっていたレッズの選手の視点で言えば、前からのプレッシャーを受けると、つなぐリスクについて考える。特に中川くんは厄介だった。いまは、ペトロヴィッチ監督時代のようなリスクをかけるサッカーではない。だから蹴ることも多かったけれど、正直、選手の中でその切り替えができていないのかなと思う。キーパーからすると、受け手の準備がないとボールを出せない。だから出せない。ペトロヴィッチのときは、動き出さなかった受け手のほうが怒られているくらいだった。それくらいのリスクを掛けていないので、「いまはやらない」というように割り切ったほうがいい。

RP:
西川選手は序盤、つなぎでミスが見られましたがその後はシンプルにやっていましたね。
都築:今回のミスに関しては、リスクあるプレーではなかった。組み立てのところで止まってしまうと、オリヴェイラのやりたいサッカーは見えてこない。慎重にやったのかな、と思う。

RP:
後半の勝負どころで失点してしまいました。
都築:失点場面で一番の問題なのは、相手にヘディングで折り返されたところを見ていなかったマウリシオのところ。彼としては中川選手が見にくかったのかもしれないが、あそこをつかまえておかないと…。ボールに集中していないといけない。クロスに対しての守備側の対応は、まず競り勝つのが一番で、そのあとは折り返しを注意するというところ。GKからの指示があったのかを含めて、中川選手を見切れていなかったと思う。

RP:
セットプレーについては。オリヴェイラ監督が直接指導したポイントでした。
都築:セットプレーの回数は多かったのに、得点できなかったのはもったいない。ブラジル人監督だから、セットプレーはそうとう練習していると思う。そこの質を上げていかないといけない。セット―プレーで勝負がつくことは多いので。

RP:
また中2日で次の試合がやってきます。
都築:時間がなさすぎる。大槻さんがやっているようにやれればいいが…。環境が変わると、いいふうに働く部分と悪いふうに働くものがあるのはみんなが実感しているはず。選手がしっかりやらないといけない。
大槻さんはキャラだちしていたのでね。いまは見守るしかないかな。そうは言っていられないが。一試合目で勝てなかったのは残念ですが、まだまだだと思う。

RP:
相手は湘南。都築さんにとっても、古巣です。
都築:湘南はよく走るし、そこに連動性もある。特に攻撃で走る。しっかりつかまえないといけない。特に、ゴール前は動き出す選手も多い。無駄だと思っても動けるチーム。まずは捕まえて、しっかりついていくこと。攻撃に関しては、どういう攻撃をするかを整理してやっていければいい。


RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』田中直希記者)

[記事リンク]2017年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS