時間帯やシチュエーションによって選手たちでコントロールした(J1第23節・FC東京戦)※再掲載
浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。
RP:RP:8月19日(土)に埼玉スタジアム2◯◯2で行われた明治安田生命J1第23節、FC東京戦は2−1で浦和レッズが勝利しました。
都築:良い試合だったと思う。修正しないといけないことはあるけど、勝つということに関しては戦う姿勢がかなり見えたと思う。球際もそうだし、クロスに対しても失点シーン以外はしっかり対応できていた。後半は受けたけど、ポゼッションというか今までペトロヴィッチ監督がやろうとしていたように極端にではないにしても、そこで培ったことがすごく生きているんじゃないかなと。局面、局面でつなぐところと、リスクを冒して攻めるところ、ビルドアップするところ。今まではイケイケドンドンだったけど、時間帯やシチュエーションによって選手たちでコントロールしていく。前半は少ないシュートで2点取ったけど、勝負どころだと思って人数を掛けただろうし、前半はそういうシーンが多かったわけではないけど、そういう時が決定機になっていた。
RP:得点シーンは連動性からなる素晴らしいゴールでしたね。
都築:1点目は右サイドで2人の関係で崩して、高い位置からだったけど良いボールを上げた。武藤(雄樹)選手は多分、トラップミスだと思うけど、しっかり興梠(慎三)選手が対応した。難しいシュートだったと思うけど、よく抑えて打った。GKは弾けたんじゃないかと思うけど、簡単なシュートではなかった。あそこで抑えて打てるのが興梠選手だなと思うし、武藤選手も良いポストにはなった。その後に失点したけど、すぐに取り返したということに関しては良い形で2点目が入ったなと。
RP:2点目は中央の連係で崩しました。
都築:2点目も興梠選手はうまかったけど、3人目の動きのなかでしっかり連係して動けたんじゃないかな。やっぱり人とボールが動けば良い形になるし、そこを徹底してやることがすごく大事だなと思った。チャンスはFC東京の方が多かったと思うけど、そこはしっかり守れたし、効率の良い攻めをしてしっかり守った。
RP:後半に入ると少し苦しい展開にもなりましたが、しっかり守れていたのではないでしょうか?
都築:後半の最初の方はかなり受けてしまったけど、最後の場面でしっかり守れていた。ただ、チーム全体のディフェンスというイメージはなかった。最後まではやっぱり来られてしまう。どこで取るんだという取りどころがあんまり決まっていないのかなと。試合を見ていると最終ラインで止めればいい、という感じに見えた。その時間帯はラインがかなり低かったし、良い時はある程度の高さは保てている。引いた時に何が起きるかというと、1失点目と同じで出し手に対してのマークが緩くなる。
RP:1失点目は出し手へのプレッシャーが緩くて良いボールを出されてしまい、裏を突かれてしまいました。
都築:サイドの裏を取られた菊池(大介)選手はポジションは悪くなかったと思う。しっかり絞れていたし。体の向きが入れ替わってしまったからボールに対して反応できなかったけど、その前で大久保(嘉人)選手に対してプレッシャーには行っているけどかなり緩かった。ああやって出されると守る方も守りづらい。見ていると、ワイドが最終ラインにかなり吸収されている。それが悪いかと言うと悪くないし、吸収された後にしっかり対応することが大事で、それに関してはできていたと思う。最終ラインのバランスは良かったと思う。
RP:リーグ戦初出場となったマウリシオ選手はいかがでしたか?
都築:今までは連係したディフェンスがあまり見られなかったけど、マウリシオ選手も“DF”という感じの選手。しっかり連係も取れているし、人にも強い。パスも出せるし、良い選手なんじゃないかと思う。全体として後半はミドルシュートをかなり打たれたし、ラインが下がりすぎた。勝っている時間帯で守りきるということからすると良かったと思うけど、そうなると攻撃はカウンター一辺倒になってしまうから、前半は隙を見てというか良いタイミングで槙野(智章)選手が上がったり、一人じゃなくて二人ないし三人で崩すという感じだったけど、後半は攻めという意味ではサイドを崩そうとしているのは分かったけど、カウンターだけだったかなと。
RP:リーグ戦で約4カ月ぶりの連勝を果たした試合でしたが、何か気になる点はありましたか?
都築:悪い流れのなかから連勝したということに関しては、結果を見るというのはすごく大事だと思う。特に今は。戦う姿勢はすごく見られた試合だったと思う。ちょっと気になったのは柏木(陽介)選手が後半、消えてしまったということ。疲れなのか。やっぱり柏木選手に良いボールが入ると良い攻撃になるというのは分かるので、そこをつぶしに来ているというのも分かるけど、それ以上に消えちゃったかなと。何でなんだろう?
RP:本人もあまり体調が良くないとは言っていますね。
都築:運動量がそこまで多くはなかったと思うけど、役割がはっきりしているから柏木選手は守備では二列目の飛び出しについていくとか、コースの限定とか、そういうところに徹していけると思う。奪った後に柏木選手が良い状態でボールをもらえるような体勢を作れば攻撃の形はできると思う。どっちかっていうと守備という選手ではないから、攻撃の第一歩として専念するためには、と思う。
RP:堀孝史監督就任以降、意識されている守備に関してはいかがでしたか?
都築:クロスのところをしっかり守れていたと思う。練習をやっているのかは分からないけど、人にも付いていたし、競り負けもしなかった。ミドルシュートについては気になったけど。
RP:クロスバーやポストに当たるシュートもありましたしね。
都築:試合をやっていて勝っている状況の時はああいう状況になるのはあるから、しっかり守るっていうことに切り替えたというのは良いことだと思う。しっかり守れたという評価にもなると思うし。とにかく今回に関しては結果が良かった。勝つためのサッカーをした。そういう感じがする。
RP:今はそれが一番大事というところでしょうか?
都築:そうですね。FC東京もそんなに悪くはなかったと思う。中盤でも結構、厳しかったし。その相手に勝ったのは今後につながっていくと思う。
RP:今後、というと次はACL準々決勝第1戦、川崎フロンターレ戦です。
都築:ACL。やりにくいと思うけど、堅実なサッカーというか堅いサッカーになるんじゃないかなと。川崎Fは調子が良いから勝つのは難しいと思うけど、今は良いところは残しながら前のチームとは違うんだというところを見せてほしい。
(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』菊地正典記者)
[記事リンク]2017年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
[記事リンク]2016年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。