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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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あそこまで甘いとレッズは確実に点を取れる(J1第11節・新潟戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。


RP:5月14日(日)にデンカビッグスワンスタジアムで行われたアルビレックス新潟戦は6−1で浦和レッズが勝利しました。
都築:最初の5分ぐらいかな? そこまでは新潟が前から来ていて、1点返した後も前から来ていたけど、そこからは完全に止まってしまった。相手は結構、レッズ対策というか攻撃の時は人数を掛けるけど守備の時はしっかりブロックを作って守っていた。攻めにくいかなと思ったけど、得点シーンを見ても分かるとおり、サイドからチャンスがあったし、それをしっかり生かせた。その状況が読めたので、サイドに展開したシーンは多かった。そこからきっちり良いボールを上げて良いチャンスになったり、良いボールを上げて良い得点になったり。それから大きかったのはセットプレーで3点取れたこと。柏木(陽介)選手のキックが良かった。特に槙野(智章)選手の得点シーンは良かったと思うし、CKは大谷(幸輝)選手の完全なミスなので何とも言えないけど、それを含めてもセットプレーから3点取れたことは大きかった。

RP:浦和から見れば相手を崩したと言える一方、新潟の守備が甘かった面も大きかったように思います。
都築:新潟がペナルティーエリアの中でマークを捕まえきれていなかった。裏を返せばレッズがうまく外したというのもあるし、ボールの質も良かった。2点目の興梠(慎三)選手が決めた宇賀神(友弥)選手のクロスは最高だった。その前のシーンからマークがついていなかったし、上げられた時も宇賀神選手しか見ていなかったけど、それにしても良い質のクロスだった。

RP:
立ち上がりは悪かったですし、先制されてしまい、どうなってしまうのかという不安もありましたが、しっかり立て直しました。
都築:前半の立ち上がりだけは悪かったけど、その時間帯だけだった。あとは後半のクロスバーに当たったチアゴ・ガリャルドのミドルシュートぐらい。あそこと失点のシーンは甘かったと思うけど、それ以外は後半は頭で得点できたし、特に余裕を持ってボールをつなげていた。細かいミスはあるにしても、崩しのところでのミスとか、高い位置でのミスだったし、そこまで危険な展開にはならなかった。取られてからもしっかり追いかけていたのは非常に良かったと思う。誰が良かったというよりも全員が良かった試合だったと思う。

RP:
失点シーンについてはいかがでしたか?
都築:失点シーンはフリーで上げさせたのと、最終的に2人行っているけど競り負けた。1人であろうが2人であろうが3人であろうが最終的に危なくないところにクリアできれば問題ないけど、2人行っても競り負けたのは今後の課題というか基本的なこと。サッカーは最終的に1対1になる局面で得点、失点することが多いから、ああいうところは課題だし、簡単に上げさせてしまったことも課題。でもそれ以外は悪いところはなかった。

RP:
負傷していた遠藤航選手、柏木選手が復帰したことも大きかったと思います。
都築:ラファエルシルバ選手がケガをしてしまったのは残念だけど、柏木選手が復帰して余裕を持った時間帯に交代できたのも次の試合に向けては良いことだと思う。柏木選手も久々だったけど、すごくボールに絡んでいたし良かったと思う。逆に新潟は何であんなに中盤でプレッシャーに来なかったのか。ホームの戦い方じゃなかったかなという気がする。でも相手がどうこうもあるけど、レッズとしてはそれに合わせずにレッズのサッカーをして勝った。そして今まで点が取れなかった分、固め取りした感じかな?(笑)。トータルで見て完勝だった。

RP:
相手のこともありますが、点を取れなかった3試合と比べて良くなったところはありましたか?
都築:いやあ、新潟が結構甘かったからなあ(苦笑)。1点取れたことがきっかけにはなったと思う。1点目は武藤(雄樹)選手がよく諦めずに逆サイドを詰めた。ラファエルシルバ選手は完全にシュートだったから。でも良いシーンになっている時はやっぱり3人目ぐらいまで動きがある。目立たなかったとしてもDFからすると嫌な動きをしている。相手の守備を混乱させることが第一だし、そういうことを増やしていけば。あとはシュート数も多かったと思う。それと得点はある程度は比例するのかなと思う。点を取れなかった試合と新潟戦は90分見比べてみれば相手がどういう守り方をしていたかが分かると思う。あそこまで甘いとレッズは確実に点を取れる。最後までマークにつけるかとか、それをいかに外すかの攻防だから。それが新潟戦は圧勝だった。

RP:
リーグ戦でも11試合30得点とリーグでも圧倒的ですが、公式戦で無得点が3試合続いた後の大量得点でした。
都築:こういう試合はシーズンを通してもあんまりないと思うけど、得点力はあるので、こういう相手だからまとめて取れるのか、どんな相手でもコンスタントに取れるのかというのは今後、求められることかな。こういうことをしないといけない、ということはレッズにはそこまで感じない。良い流れの時もあるけど、悪い流れの時でも選手がピッチのなかで対応できると思う。だから「こういうプレーをしなきゃダメなんだ」というのは練習で出来上がっているから、あとはそれを試合でどう出すかだけ。それは相手に合わせることなく自分たちのサッカーができることの強み。それを悪い時でもできる状況を作れればいいと思う。まあ大谷選手はかわいそうだったけど。

RP:
今季から新潟に移籍してJ1で初めてレギュラーとしてプレーしている大谷選手ですが、都築さんから見ていかがでしたか?
都築:ほかの試合を見ていると頑張っているけど、振られるシーンが多かったから、CK以外は難しいかなというのはある。関根(貴大)選手の得点も攻めに行った後にDFが全然ついてこなかった。だからGKとしては防げる失点はオウンゴールになったCKだけだったのかなと。槙野選手のFKも出たんだったら触らないといけないというのもあるし、厳しいことを言うと遠藤選手のゴールもかな。あのボールだったら出られると思う。そういうことも含めてしまうと厳しい見方になってしまうけど、頑張ってほしい。

RP:
次はホームに戻って清水エスパルス戦です。
都築:清水は鳥栖戦のチアゴ・アウベス選手のミドルシュートはすごかった。鄭大世選手が起点になって攻撃を仕掛けてくると思う。2年ぶりの対戦になるけど、レッズとしては普通どおりにやれば間違いなく勝てると思うので、普通どおりにやればいいと思う。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』菊地正典記者)

[記事リンク]2017年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
[記事リンク]2016年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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