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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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これ以上落ちることはないと思う(J1第10節・鹿島戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。


RP:5月4日(木・祝)に行われた明治安田生命J1第10節、鹿島アントラーズ戦は0-1で浦和レッズが敗れてしまいました。
都築:残念ですよね、結果としては。内容も含めて負けた感じがする。前の試合から思っているけど、サイドで森脇(良太)選手や槙野(智章)選手の位置が高くなって、本来サイドでプレーしている関根(貴大)選手や宇賀神(友弥)選手があまり生きていない。レッズは元々そのサッカーをやっていたけど、それをやるとリスクがある。

RP:ヴィッセル神戸戦の後はその形で良い流れになったと思いましたが、ここに来て悪い方向に出てしまっている印象です。
都築:両方が上がってしまったら最悪だし、阿部(勇樹)選手がバランスを取っているというのもあるけど、全体のバランスは悪い。攻められている時に人数はいるのに相手が2人ぐらいで崩される場面が多い。タイミングとしては今やっているぐらいで上げるべきだと思うけど、良いタイミングを見計らわないと簡単に崩されてしまう。パス1本で崩されたシーンもあるし、後半にペドロジュニオールに打たれて危ないシーンもあった。先に取られてしまったから焦って前に行くのは分かるけど、守備をもう1回しっかりやり直さないといけない。

RP:なかなか攻撃の形も作れませんでした。
都築:縦パスでかなりミスが多かった。狙っていたとは思うけど、あそこで前を向いて攻撃の形を取れないとスタートが切れない。前の試合も柏木(陽介)選手がつぶされていて、今回はいなかったけどあそこから縦に当てて前を向いて攻撃を仕掛ける展開が少なかった。鹿島に自由にサッカーをさせてもらえなかったというのはあると思う。サイドでも、関根選手は最後にラファエル・シルバ選手がシュートを打った後半立ち上がりのシーンは崩せたけど、決定的なシーンにつながるプレーがほとんどなかった。言い方はおかしいかもしれないけど、玄人からすると攻防としてはおもしろい試合だった。でもお互いに縦に速くて試合を落ち着かせることがあまりなかった。本来ならばそういう展開もレッズは得意だと思うけど、噛み合っていないのかなと思う。もう1つ気になるのは、阿部選手のミスが多い。守備もつぶしきれていないし、展開力もそんなに生きていない。疲れがあるとは思うけど、鹿島も同じ条件だし、鹿島の方が闘争心はあったのかなという気がする。

RP:失点シーンも簡単に崩されてしまいました。
都築:サイドで崩されたところが全部、後手だった。人数は全然足りているのに金崎(夢生)選手1人にやられた。気になるところは多い。良い試合だったとは思うけど、勝てなかったことが一番の問題。

RP:都築さんもおっしゃっていましたが、特に数試合前までは起点になっていたサイドからの良い形の攻撃がほとんどないの気になりました。
都築:極端なんですよね。良い時はかなりサイドが良いから。だから機能しない時もかなり目立つ。特に宇賀神選手から全然クロスが上がっていない。1試合で1本か2本。関根選手の崩しもここ2試合は多くない。それまで良い試合を見ていただけにそう思ってしまうところもあるけど、メンバーも含めて修正しないと。鹿島は縦パスを奪えばチャンスになるということは分かっていたと思う。それも含めて修正しないといけない点は多かった。

RP:リーグ戦だけではなく公式戦としても今年初の連敗となってしまいました。
都築:まだ序盤だから、ということは選手は口に出せないと思うけど、焦る必要はない。修正しないといけない点が見えてきたことはあるけど、これからだと思う。

RP:連敗もそうですし、ダービーと首位決戦に立て続けに負けたということも印象としてあまり良くないのではないでしょうか?
都築:連敗の仕方も。観客が入っているなかで期待を裏切ってしまうというのは残念さが倍増してしまう。鹿島の巧さ、試合巧者ぶりは負けた試合だと特に感じる。鹿島の調子が良い時にはあまり勝てない。鹿島が良くない時には大差で勝ったりするけど、良い状態の時に勝てないのも課題。でも切り替えないといけない。

RP:次はACLでFCソウル戦です。グループ1位突破を懸けた試合になります。
都築:修正するには良い相手だと思う。グループステージ突破も決まっているし、1位で行かないといけないということもあるけど、メンバーも代えてくるだろうし、今は様子見。

RP:ACLで1位突破になればまた良い流れになるかもしれません
都築:それを期待する。今の状況は良くはないし、これ以上落ちることはないと思う。もちろん見ていかないと分からないけど。

RP:流れが悪いからと言って戦い方を変えるチームではないと思いますが…
都築:ただ、ミスが多いということはかなり致命傷。戦い方を変える…うーん、何かフィットしていない。細かいつなぎとかもあまりないし、ゴール前での動き出しも。それもまた極端。ウェスタン・シドニー戦でかなり崩していたけど、その後の2試合だから。そこは気になるけど、もうちょっと余裕を持ってボールをつなげればいいんだけど。相手が前に来るというよりは来ざるをえない状況を作らないと狙われているところでハメられて失点している。まあ今は見届けるしかない。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』菊地正典記者)

[記事リンク]2017年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
[記事リンク]2016年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS