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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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いつものレッズじゃないっていうだけで良いサッカーはしている(J1第8節・札幌戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。


RP:4月22日(日)に行われた明治安田生命J1第8節・コンサドーレ札幌戦は3-2で浦和レッズが勝利しました。7-0で勝利した仙台戦のような展開もあるかと思われましたが、結果として締まった試合になりましたね。
都築:札幌が頑張ってくれたおかげでおもしろいゲームになった。レッズもポゼッションはかなり取っていたけど、思ったよりは、っていう感じがあったと思う。特に前半の最初はチャンスを決めきれなかったのがあるので、リズムとかポジションは取れたし、崩したけど点を取るまでには至らなかったのが札幌を勇気づけてしまった。札幌としたら「守れるんじゃないか」という感覚だったんじゃないかと思う。

RP:浦和としては、チャンスは作れていましたね。
都築:今は見ていると縦に速い。札幌戦に関してはラファエルシルバがポストプレーもやっていたので落ち着く場面もあったけど、全体的に縦に速い。結果的に勝っているので大丈夫だと思うけど、もうちょっとゴール前で2、3人で連係して動き出して、っていうプレーが出てくるともっとオプションが出てくるのかなと思う。前半のチャンスは全部、パス2、3本で裏に抜け出している。ただ、裏の取り方は非常にうまい。

RP:中央もサイドも裏を取れている印象です。
都築:特に関根(貴大)選手はうまかったし、後はフィニッシュのところだけだったと思うけど、出し手もよく見ている。受け手と出し手がしっかりコミュニケーションを取れていないと良い動き出しをしても良いパスが来ない。そういう意味では今までの崩して崩して、サイドを使って使って、っていう攻撃だけじゃなくてオプションは増えたと思う。前半は特に関根選手のサイドからチャンスを作れていた。悪くはないと思うし、実際に勝っているし、良いサッカーもやっていると思うけど、いつものレッズらしくはないなって。それでペトロヴィッチ監督が良いと言うなら良い。でも監督が違うと思っているんだったら違うんだろうなと。いつものレッズじゃないっていうだけで良いサッカーはしているから、違う形になったのかなという感じがする。

RP:スコアは前半から動きました。
都築:1点目はCKからラファエルシルバ選手がセカンドボールにしっかり反応した形でよく狙っていた。柏木(陽介)選手のCKも良いボールだった。その後に1点取られたシーンが最大のポイントだったと思う。あそこは槙野(智章)選手が(ポストプレーをした都倉選手に)行くべきではなかった。気持ちは分かるけど、槙野選手が行くなら遠藤(航)選手が行くか、飛び込まないか。あそこに槙野選手が行くことで兵藤(慎剛)選手が空いてしまったわけだから、そこは気をつけないといけない。遠藤選手が行ってもいいし、槙野選手も行かずにすらせておくべきだった。兵藤選手は外してしまってはダメだった。あれがあって札幌がまた元気になったというのはあるけど、その後すぐに素晴らしいゴールが生まれた。

RP:宇賀神友弥選手が左サイドを突破して上げたクロスを興梠慎三選手が頭で合わせ、最後はこぼれ球を関根選手が豪快に押し込みました。
都築:あれは完全に崩した。宇賀神選手のボールも良かったし、興梠選手も決まりはしなかったけどしっかり枠内に持っていった。そして関根選手がしっかり詰めていて、シュートも最高のコースだった。あれはGKは取れない。それで2-1で折り返したことは良かったけど、決めるところを決めていればもっと楽だった。

RP:2-1で迎えた後半はいかがでしたか?
都築:後半も同じような展開だった。ポゼッションはレッズが取って、ピンチはあまりなかったけど決めきれない状態が続いた。そこで札幌の点を取れば行けるんじゃないかっていう雰囲気を作ってしまった。相手のGKもすごく良かったし、DFも良かった。そこが試合を締めたというところはあるけど、レッズとしては決めるところを決めておけばもっと楽な試合ができた。でもそれは負けた時の言い訳なので、勝った時は課題としてはあるけど、結果オーライではある。ただ、後半はサイドの攻撃がちょっと少なかったとは思う。縦パスが多くて個人でかわしてシュートとか、縦パスから連動して、ということはあったけど、崩しにかかっていった戦いではなかったかなと思う。逆に札幌は裏を取る時にほとんどオフサイドになっていたけど、レッズが裏に抜けた時はほとんどオフサイドじゃないということは、動きと出し手の質が全然違った。最後のところで札幌はGKを含めてよく体を張っていた。

RP:興梠選手のPKで1点を追加しましたが、FKで失点もありました。
都築:最後のFKはうまかったし、ああいう失点もある。常にポゼッションを取って試合を進められたと思うし、良い試合だったと思う。最初にも言ったけど、札幌も頑張った。都倉(賢)選手のところで時間も使えて、得点も取れたし、負けたけど良い試合だったと思う。特に1-1になってから前から来たので、レッズからするとやりにくかったと思うけど、前半のうちに2点目を取れたのはプランとしては良かったと思う。1-1で終わっていたらどうなっていたか分からなかった。

RP:次はACL、ウェスタン・シドニー戦です。
都築:そこまで体力は消耗していないと思う。それはACLに臨むにあたっては良かったことだし、試合のためにしっかり調整していると思う。

RP:突破のためには勝ち点1でOKという状況はある意味、難しくなってしまうことがあると思います。
都築:でもホームなんでね。多分、勝つことしか考えていないと思う。引き分けを狙って引き分けられるものでもないし、引き分けるにしても勝ちにいった結果、そうなることもある。もちろん勝ちに行って勝つことが理想。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』菊地正典記者)

[記事リンク]2017年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
[記事リンク]2016年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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