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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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お互いに持ち味を出した良い試合(J1第4節・G大阪戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。


RP:3月19日(日)に吹田スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ第4節、ガンバ大阪戦は1−1の引き分けに終わりました。
都築:かなり見応えのある試合だったと思う。両チームともレベルが高かった。流れとしてはレッズのペースだったと思う。攻撃のところも中盤に柏木(陽介)選手が入って、ビルドアップからの最後のパスを出すことに関してはレッズのほうがチャンスを作っていたと思う。G大阪のプレスも速くて、レッズの攻守の切り替えも速かったし、お互いに持ち味を出したかなと思う。ゴール前の攻防も多かったし、良い試合だったと思う。

RP:柏木陽介選手が開幕戦以来のスタメン復帰となりました。
都築:レッズは柏木選手がボールを出せる、中盤を1つ作って、っていう形が多かったので、柏木選手が出ている時と出ていない時とではサッカーが違うと思った。柏木選手が後ろに残っている時は青木(拓矢)選手が前に行く力を出した。去年まではあまり見られなかった攻撃に関わる青木選手が見られたし、そこもすごく良かったと思う。ミドルシュートも多かったし、良いシュートもあった。点を取られるまではレッズのほうが良い攻撃をしていたし、流れも良かったけど、点を取られるところだけ形を作られた。

RP:ピンチらしいピンチはあそこだけでした。
都築:クロスは良いボールだったけど、槙野(智章)選手は多分、後ろにそらそうとしたんだと思うけど、前で触れれば良かった。全体的に見ていても、試合を見ていた人は満足できた試合だったと思う。特にゴール前でレッズの崩し、細かいところ、特に右サイドかな? 細かいパスで崩した。左サイドもクロスは良かったけど、右サイドから良い攻撃ができていた。ただ、ラファエル シルバ選手が良い動きはしているんだけど、ゴール前に行けば行くほどスペースがなくなるから、意外と柏木選手からのスルーパスでも詰まっちゃってるかなと感じた。やっぱり前にスペースがあるほうが彼は生きる。そこは今までの試合とは少し違ったかなと思う。だけど、レッズのサッカーとしては急がずに展開しながら攻めて行くほうが合っているのかなという感じがする。そこは柏木選手が出る、出ないで変わってくるけど。

RP:ピンチが少なかった、ということはレッズの守備が良かったと言えるのでしょうか?
都築:G大阪は攻撃の形がそこまでなかった。怖いなっていうシーンはほとんどなかった。G大阪では今野(泰幸)選手がかなり効いている。以前よりちょっと前目になって、攻撃でも目立つ。ただ、失点のところもしっかり付けてはいたと思う。だから悔しい。あとは長沢(駿)選手に仕事をさせなかったことも大きかった。ヘディングでもほとんど負けていなかったと思う。ポイントになる選手をしっかり抑えたというのは、G大阪に攻撃させなかったということになるかもしれない。遠藤(保仁)選手もそれほど目立たなかった。そういう意味でもレッズのほうが良かった。結果が1−1というのは残念だったけど、非常に良い試合だったと思う。

RP:相手にそれほど良い攻撃をさせず、チャンスはありながら得点が遠い展開でした。
都築:フィニッシュのところかな。崩せていたけど、得点していてもおかしくないシーンはそこまで多くはなかった。ゴール前でガッツリ守られたこともあるけど、良い形はかなり作っていながら得点は足りなかった。やりたいサッカーはできたと思うし、うまく守っていたし、レッズとしては次につながる試合にはなったと思う。結果だけ。

RP:遠藤保仁選手を抑える狙いもあったようですが、普段の1トップ2シャドーではなく興梠慎三選手とラファエルシルバ選手の2トップ、その下に柏木選手というような形でした。
都築:青木選手と柏木選手が入るとメリハリというか、柏木選手が後ろでプレーすることもある。そこが縦の関係になっている時と横の関係になっている時のバランスの味方がちょっと違う。遠藤(保仁)選手は今回の試合はそこまで攻撃に力が入っていなかったと思う。さばきに徹している感じ。柏木選手と同じようにG大阪も遠藤選手にボールが入ってから攻撃のスイッチが入ると思うので、そこから前に行くと動きは少なかった。ほとんどなかったんじゃないかな? そこはレッズがうまく対応できていたと思う。それか、今野選手と役割分担しているか。そうは言ってもG大阪としては攻撃では思うような形ができなかったと思うし、長澤選手を前線でプレーさせずに下がってボールを受けたところでつぶすというように、相手の長所を消す守備ができたと思う。アデミウソン選手もそこまで個の力を出せていなかったと思うし、うまく守れていたと思う。ビルドアップもそんなにミスがなかったし、それも含めて良かったと思う。

RP:アウェイではありますが、それだけに勝ち点3が欲しかった試合でもありました。
都築:G大阪もガッツリ守っていたから。それでもセカンドボールは結構拾えていたし、勝った感じの試合だった。それだからこそもったいないとは思うけど、ああいうプレッシャーが速い試合の中で、ある程度のビルドアップ、崩しができるということに関しては良かったと思う。柏木選手がいないと中盤がなくて、ラファエルシルバ選手が生きるシーンもあるけど、そればかりだと疲れも出る。タメができて、やることが明確になったというか、崩しのところもそうだし、柏木選手はやっぱり展開力がある。長いボールで逆サイドにチェンジするよりも、柏木選手が中盤でボールを持ってさばいて、さばいて、サイドに展開するというほうが攻撃としてはレッズっぽいと思う。ただ、両チームとも良かったと思う。

G大阪があそこまでやってくれたからレッズも速いペースで試合ができた。展開も速かったし、攻守の切り替えも早かった。内容としては良かったと思う。みんな最後まで集中していたし、取り立てて指摘するようなことはないと思う。失点シーンも左サイドに展開されたところだけ。そこからほぼフリーで上げられているから、そこはレッズにはよくあることかなと思う。でも全体としては良かったと思う。

RP:次は2週間空きますが、アウェイで首位のヴィッセル神戸と対戦します。
都築:結構大変だと思う。G大阪戦もそんなに疲れは見られなかったし、みんな運動量は多かったと思うけど、神戸は個人の能力が高いと思うので、まずは疲れを取ってもらいたい。モチベーションは高いだろうし、良い試合を期待したい。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』菊地正典記者)

[記事リンク]2017年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
[記事リンク]2016年シーズン浦和レッズ試合情報まとめ
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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