もっと試合に絡むべき選手は?(ACL MD6・浦項戦)
浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。
RP:5月3日(火・祝)に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージMD6・浦項スティーラーズ戦は、1-1の引き分けに終わりました。浦和レッズとしては、グループ首位突破の可能性がありながらも、突破自体はすでに決めており、メンバーを大幅に入れ替えて臨んだ一戦でした。
都築:相手も良いモチベーションだった。浦項も結構メンバーを入れ替えていたんですよね?
RP:前回の浦和戦からも、直近のリーグ戦からも、6人を入れ替えていました。
都築:こっちもほぼ総入れ替えして、お互いモチベーションが高くて消化試合にはならなかった。もちろん浦和としては首位突破の可能性があるので消化試合ではないんだけど。
RP:試合内容はいかがでしたか?
都築:ミラーゲームじゃないけど、相手も形を合わせてきた中で、決して守備的ではなく攻撃的に来ていた。相手は、特に右サイドを使って攻めてきていたし、浦和もサイドからの攻撃がメインだった。あそこまで選手を入れ替えると、思ったような展開ができないことは仕方がない。新加入の(ブランコ)イリッチ選手も積極的に攻撃参加しようとしていたけど、森脇(良太)選手と比べると攻撃参加は少なかったし、守備では貢献したと思うけど、攻撃の厚みがなくなっちゃっていた。
全体としてゴール前まで行くには行くけど、ゴール前に人数が少ないなど、リズムはあまり良くなかった。ただ、局面で力強く、粘り強く、守備も中盤のプレッシャーもできていた。お互いだと思うけど、モチベーションの高い試合で締まったかなと思う。相手が最終的な部分で体を張っていたので簡単には崩せなかったし、得点はお互いにPKで……。特にレッズは、納得できないPKだった。1位でグループリーグを突破できれば良かったけど、どこと当たっても変わらないと思う。そういう意味では、出ていなかった選手が良いモチベーションでやれたことは、チームの総力が上がる意味で良かった。
RP:攻撃の形が、うまく作れなかった印象ですが、その点はいかがですか?
都築:どうなのかな? 展開としては基本的には中盤からしっかりつないで、っていう形じゃなかったと思う。柏木(陽介)選手も長いボールを使っていた。長いというかミドルパス。それでもチャンスはあったし、相手GKも止めていた。チャンスはあったけど決定力は物足りなかった。ミドルパスでしっかりスペースを作り、スペースに走り込んで相手の裏を取って、というパスが柏木選手から出ていたし、裏に抜けてGKとの一対一もあった。普段とは違う、得意とする形ではなかったけど、バリエーションが増えている。
ただ、そうは言っても、中盤を飛ばして遠藤(航)選手が出ている時みたいに長いボールでもなかった。柏木選手がボールを持った時には前線は動き出しているし、そういう意識付けはされている。あとは決めるだけ。守備はしっかり守れている。西川(周作)選手を含めて最終局面で止められていた。誰が出ても守れている。
RP:先ほど「納得できない」というお話が出ましたが、あのPKは……。
都築:失点に関して僕のコメントはない(笑)。レッズからしたら絶対に納得できない。それでも諦めずに攻めたのは良かったし、相手がリードしてもがっちり守ろうとしなかったことも良かった。相手がディフェンスラインで守ろうとするような試合だったら守られたかもしれないけど、中盤で厳しめにプレッシャーを掛けて、最終ラインは引くだけじゃなくて、運動量が多く、かわされたら戻る、かわされたら戻る、ということを繰り返していた。お互いに良い試合だったと思う。
RP:出場機会の少ない選手が多かったですが、印象はいかがですか?
都築:イリッチ選手の適正はもしかするとあそこ(右ストッパー)じゃないかもしれない。真ん中のイメージ。守備のイメージはいいけど、レッズのサッカーはそれだけじゃない。真ん中でバランスを取りながら守る選手なのかなという印象。ほかには、細かいことを言うと、サイドの攻め、特に左サイドの橋本(和)選手はなかなか前に行けなかった。本来ならあそこはDFが味方を追い越して前に行って数的優位を作れればいいけど、橋本選手の上がりはそこまで機能していなかった。攻撃に入った時に多ければ多いほどレッズの攻撃は生きる。
RP:都築さんから見て、普段からもっと試合に絡んでいきそうだと思った選手はいましたか?
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。