(有賀久子)



今、抱える浦和レッズの問題が全てピッチに表れた

「凌磨がいなかったのが大きい」と話したのは、柏レイソルの小泉佳穂だ。

満身創痍の浦和レッズの痛いところをつく言葉だった。

試合後、佳穂が発信した試合の全体像は、90分間の中で、浦和が良い時間帯を迎えたと思えた前半の時間ですら、柏の、手のひらの中で“動かされていた”ことを痛感するものだった。

前半でセットプレーと流れの中から2点をとり、柏にダメージを与えたかに見えた。もちろん、柏側に立てば、余計な2点に違いないが、“2点であれば……”という感覚もあったはずだ。

前半、佳穂のプレーは窮屈そうに見えた。長沼洋一、安居海渡、関根貴大の3人は、大外の選手をケアしながらも、佳穂のプレーを封じた。だが、これも佳穂の立場で話せば、意図を持ったポジショニングであり、安居らのHPを減らす45分間と割り切っていた。

リカルド ロドリゲス監督は、ハーフタイムに攻撃の瀬川祐輔を入れ、その後、戦況とタイミングを図りながら、細谷真大、仲間隼斗、小西雄大を次々に送り出した。結果、この交代の4人が、後半の全得点に絡んでいる。

6ポイントゲームの結果は、4対2で柏が勝利し、暫定首位に浮上。浦和は、順位は7位と変わらないものの、あす24日(日)の京都サンガF.C.の結果次第では首位との勝ち点差が7になり、中位グループに吸収される可能性が高まった。

後半、マチェイ スコルジャ監督が送り出したのは、荻原拓也、チアゴ サンタナ、松本泰志、大久保智明、原口元気。いずれも戦術的交代ではなく、前半45分間を戦った選手たちの、足を攣るなどのフィジカル面を考慮した交代と言える。

だが、フィジカルを補完するだけではなく、瀬川の得点を浴びた直後からのベンチワークであるだけに、1点のアドバンテージをどのような策で守るか。攻撃的な選手を入れ替えるのであれば、フレッシュな選手が前重心で全体を押し上げることが考えられるが。マチェイ スコルジャ監督を中心とした重要な仕事だった。

ローブロックによって、頂点に立つ松尾佑介やチアゴ サンタナのポジションは必然と下がるが、松尾は、自身の特長である快足で相手に警戒心を与え、柏のラインの上げ下げや前線からGKまでの全体のバランスを広げさせることが出来るが、あのシチュエーションで、チアゴの個性が合っていたのか。

松尾でさえも、試合後、悪手だったのでは、と振り返る自身の動きがあった。

「カウンターのテンプレなんですけど、相手をケアしないといけないので、僕自身のポジションも下がってしまった。もう少し高い位置にいたほうが相手にとっても嫌だし、後半、特に、僕が下がりすぎていたので、相手のセンターバックも非常に快適にプレーしていた。それがあまり良くなかったかなと感じています」ということだ。

すると、ベンチのメンバー編成が的確だったのか。

柏にとって、何が嫌がるかを考えたら、それはボールを保持すること。保持力の高い柏に保持力で上回るのは至難の業であるのは百を承知で。であれば、意図を持ってボールを保持出来る早川隼平の起用の選択であったり、そもそも中島翔哉というキャラクターを据えておきたかったところ。
ただ、それをし難い編成であるのも理解できる。

柏戦が終わると、天皇杯、アルビレックス新潟戦、ルヴァンカップと連戦になる。先を見据えてやりくりしなければならぬ、現在のチーム全体の編成に難ありなのだ。浦和の交代パターンは対戦相手に丸裸になっていて、たとえば、今回交代した5人が、スコアや形勢、あらゆる変化に個性を変えて対応出来るのならば問題が問題になりにくいが、そんな七変化が出来る選手はおらず、予想通りに進んでしまう。

2対4での敗戦。

アディショナルタイムで、4失点目の起点になったのが、前半に浦和の左サイドの関根たちが抑えていた久保藤次郎だった時には脱力感を覚えた。

この敗戦は、試合後のゴール裏への挨拶の時に大きな影響を与えた。

最前列のサポーターたちの声を受けとめ、感情を表に出す選手もいた。あんなに反応するということは、よほど強い言葉、それなりの言葉を掛けられたのだと思う。ただ、サポーターの憤りも分かる。

ゴール裏は『目標も準備も検証も曖昧なCWC 4年とその未来に向け クラブと株主はその道筋を示せ』と意思を示しているのだ。

その答えがピッチ上から感じられるのであれば、気持ちを保ち続けられるのだろうが、数年にわたり、長く続くクラブの問題が全てピッチ上に表れたような結果と戦いぶりで、疲弊した選手たちの顔も何もかもがフラストレーションに繋がったのだろう。

水曜日は天皇杯、日曜日には降格圏内にいる新潟戦だ。

互いにどんな表情で、スタジアムで向き合うか。松尾は「落ちすぎずに、しっかりと次の試合に、僕個人としては臨んでいきたいと思います。チームの状況もしっかりとコントロールして、プロとして、やるべきことを、選手個人個人がやっていれば、特に問題ないと思います」と言いきった。それを浦和レッズとしても見せなければならない。

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試合レポート|J1第27節・柏戦=ポイント|レッズプレス!!

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J1第27節・柏戦=ポイント

(有賀久子)



今、抱える浦和レッズの問題が全てピッチに表れた

「凌磨がいなかったのが大きい」と話したのは、柏レイソルの小泉佳穂だ。

満身創痍の浦和レッズの痛いところをつく言葉だった。

試合後、佳穂が発信した試合の全体像は、90分間の中で、浦和が良い時間帯を迎えたと思えた前半の時間ですら、柏の、手のひらの中で“動かされていた”ことを痛感するものだった。

前半でセットプレーと流れの中から2点をとり、柏にダメージを与えたかに見えた。もちろん、柏側に立てば、余計な2点に違いないが、“2点であれば……”という感覚もあったはずだ。

前半、佳穂のプレーは窮屈そうに見えた。長沼洋一、安居海渡、関根貴大の3人は、大外の選手をケアしながらも、佳穂のプレーを封じた。だが、これも佳穂の立場で話せば、意図を持ったポジショニングであり、安居らのHPを減らす45分間と割り切っていた。

リカルド ロドリゲス監督は、ハーフタイムに攻撃の瀬川祐輔を入れ、その後、戦況とタイミングを図りながら、細谷真大、仲間隼斗、小西雄大を次々に送り出した。結果、この交代の4人が、後半の全得点に絡んでいる。

6ポイントゲームの結果は、4対2で柏が勝利し、暫定首位に浮上。浦和は、順位は7位と変わらないものの、あす24日(日)の京都サンガF.C.の結果次第では首位との勝ち点差が7になり、中位グループに吸収される可能性が高まった。

後半、マチェイ スコルジャ監督が送り出したのは、荻原拓也、チアゴ サンタナ、松本泰志、大久保智明、原口元気。いずれも戦術的交代ではなく、前半45分間を戦った選手たちの、足を攣るなどのフィジカル面を考慮した交代と言える。

だが、フィジカルを補完するだけではなく、瀬川の得点を浴びた直後からのベンチワークであるだけに、1点のアドバンテージをどのような策で守るか。攻撃的な選手を入れ替えるのであれば、フレッシュな選手が前重心で全体を押し上げることが考えられるが。マチェイ スコルジャ監督を中心とした重要な仕事だった。

ローブロックによって、頂点に立つ松尾佑介やチアゴ サンタナのポジションは必然と下がるが、松尾は、自身の特長である快足で相手に警戒心を与え、柏のラインの上げ下げや前線からGKまでの全体のバランスを広げさせることが出来るが、あのシチュエーションで、チアゴの個性が合っていたのか。

松尾でさえも、試合後、悪手だったのでは、と振り返る自身の動きがあった。

「カウンターのテンプレなんですけど、相手をケアしないといけないので、僕自身のポジションも下がってしまった。もう少し高い位置にいたほうが相手にとっても嫌だし、後半、特に、僕が下がりすぎていたので、相手のセンターバックも非常に快適にプレーしていた。それがあまり良くなかったかなと感じています」ということだ。

すると、ベンチのメンバー編成が的確だったのか。

柏にとって、何が嫌がるかを考えたら、それはボールを保持すること。保持力の高い柏に保持力で上回るのは至難の業であるのは百を承知で。であれば、意図を持ってボールを保持出来る早川隼平の起用の選択であったり、そもそも中島翔哉というキャラクターを据えておきたかったところ。
ただ、それをし難い編成であるのも理解できる。

柏戦が終わると、天皇杯、アルビレックス新潟戦、ルヴァンカップと連戦になる。先を見据えてやりくりしなければならぬ、現在のチーム全体の編成に難ありなのだ。浦和の交代パターンは対戦相手に丸裸になっていて、たとえば、今回交代した5人が、スコアや形勢、あらゆる変化に個性を変えて対応出来るのならば問題が問題になりにくいが、そんな七変化が出来る選手はおらず、予想通りに進んでしまう。

2対4での敗戦。

アディショナルタイムで、4失点目の起点になったのが、前半に浦和の左サイドの関根たちが抑えていた久保藤次郎だった時には脱力感を覚えた。

この敗戦は、試合後のゴール裏への挨拶の時に大きな影響を与えた。

最前列のサポーターたちの声を受けとめ、感情を表に出す選手もいた。あんなに反応するということは、よほど強い言葉、それなりの言葉を掛けられたのだと思う。ただ、サポーターの憤りも分かる。

ゴール裏は『目標も準備も検証も曖昧なCWC 4年とその未来に向け クラブと株主はその道筋を示せ』と意思を示しているのだ。

その答えがピッチ上から感じられるのであれば、気持ちを保ち続けられるのだろうが、数年にわたり、長く続くクラブの問題が全てピッチ上に表れたような結果と戦いぶりで、疲弊した選手たちの顔も何もかもがフラストレーションに繋がったのだろう。

水曜日は天皇杯、日曜日には降格圏内にいる新潟戦だ。

互いにどんな表情で、スタジアムで向き合うか。松尾は「落ちすぎずに、しっかりと次の試合に、僕個人としては臨んでいきたいと思います。チームの状況もしっかりとコントロールして、プロとして、やるべきことを、選手個人個人がやっていれば、特に問題ないと思います」と言いきった。それを浦和レッズとしても見せなければならない。

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