(有賀久子)



まだ8差だ、とするためにもチーム状態を上向きに

湘南ベルマーレ戦の4対1の勝利から中3日。アビスパ福岡戦は1トップにチアゴ サンタナが入り、トップ下を務めてきた渡邊凌磨は、怪我の程度はハッキリさせていないが、欠場となった。湘南戦は、FW小森飛絢のホーム埼スタデビューで新鮮さや高揚感があったものの、今回の陣容では、福岡相手にどこか計算が出来てしまったのが寂しいところ。結果は裏切られることなく、スコアレスドロー。途中から「つまらないサッカーだ」という言葉を見聞きすると、つくづく残念な試合だった。

夏休みに入り、埼スタの外では子供たちが楽しめる企画が目白押しだった。試合前に疲れて寝てしまうのではないか、と心配してしまうほど。だが、一番の楽しみは、ピッチの上にある。それは勝敗であり、たとえ、思い通りの結果でなくても、「また、埼スタに来たい」と思うような、子供たちが夢中になるようなプレーを見せてもらいたい。

今の浦和レッズのサッカーは、前線のパフォーマンスが試合全体に大きく影響を与える。マチェイ体制の1年目、2023年も、マチェイ監督は、自身の理想とするストライカーを獲ろうとしていた。それは今年4月、マチェイは定例会見の中で語っている。

「堀之内(聖)スポーツダイレクターと共に1つの移籍ウインドーしか経験していません。1つのウインドーで、全てのポジションに必要な選手を獲得することは難しいです。また、サブの選手に、どういったタイプの選手が必要なのか、ということも同時に考えなければいけませんので、長い時間が掛かるプロセスだと思います。たとえば、2023年の1年目の時も、私の理想とするストライカーを獲ろうとしている間に、ブライアン(リンセン)や(興梠)慎三に合わせる形でプレーしてもらっていました。その後に(ホセ)カンテが来ました」。

理不尽ゴールと話題になったホセ カンテだ。28試合で8得点を決めた。彼も、加入後すぐは波に乗れなかったが、その様子を見て、浦和レッズOBの永井雄一郎さんは「今は、Jリーグの独特な守備に合っていないだけだと思う。このまま続けていけば、結果を残すと思う」と予感を口にし、その言葉通り、終盤の浦和レッズ、マチェイを結果で助けた。

それは当時、戦術ホセ カンテ、ホセ カンテ頼みとも言えたが、明確な狙いと個々の特長が出ていた。

一方、今はどうだろうか。

福岡戦、戦術チアゴ サンタナであれば良いが、攻守ともに中途半端だった。福岡のGKを含む守備陣を称えるべき場面もあったが、チアゴの特長である「ボールをキープしたり、ゴールに向かっていったりするオプション(マチェイ監督談)」は、福岡戦で残念ながら影を潜め、キープしようとする姿勢は見えたものの、すぐにボールを奪われ、後方からポジションを追い越す余裕がなかった。個人戦術の物足りなさだけではなく、チームとしても、ボールを失うリスクを埋められなかった。

興行であるからこそ、特にホームでは、勝つことが求められる。ただ、戦いは生き物であり、どんなに内容が良くてもスコアに表れないのがサッカーだ。そのため、スタジアムの外では、別軸として、エンターテインメントを届けようとしている。仕上げが、公式戦だ。全部を勝て、とは言わない。少なくとも、選手の個性が生きる戦術、組み合わせであってもらいたい。決して前向きではない必死な姿は、見ていて苦しくなる。そして今いちど、意図なしのバックパスは要らない。

首位との勝ち点は8差までしかつめられなかったが、まだ8差とするためにも、天皇杯への準備と共に、チームの状態を上向きにしたい。

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試合レポート|J1第24節・福岡戦=ポイント|レッズプレス!!

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J1第24節・福岡戦=ポイント

(有賀久子)



まだ8差だ、とするためにもチーム状態を上向きに

湘南ベルマーレ戦の4対1の勝利から中3日。アビスパ福岡戦は1トップにチアゴ サンタナが入り、トップ下を務めてきた渡邊凌磨は、怪我の程度はハッキリさせていないが、欠場となった。湘南戦は、FW小森飛絢のホーム埼スタデビューで新鮮さや高揚感があったものの、今回の陣容では、福岡相手にどこか計算が出来てしまったのが寂しいところ。結果は裏切られることなく、スコアレスドロー。途中から「つまらないサッカーだ」という言葉を見聞きすると、つくづく残念な試合だった。

夏休みに入り、埼スタの外では子供たちが楽しめる企画が目白押しだった。試合前に疲れて寝てしまうのではないか、と心配してしまうほど。だが、一番の楽しみは、ピッチの上にある。それは勝敗であり、たとえ、思い通りの結果でなくても、「また、埼スタに来たい」と思うような、子供たちが夢中になるようなプレーを見せてもらいたい。

今の浦和レッズのサッカーは、前線のパフォーマンスが試合全体に大きく影響を与える。マチェイ体制の1年目、2023年も、マチェイ監督は、自身の理想とするストライカーを獲ろうとしていた。それは今年4月、マチェイは定例会見の中で語っている。

「堀之内(聖)スポーツダイレクターと共に1つの移籍ウインドーしか経験していません。1つのウインドーで、全てのポジションに必要な選手を獲得することは難しいです。また、サブの選手に、どういったタイプの選手が必要なのか、ということも同時に考えなければいけませんので、長い時間が掛かるプロセスだと思います。たとえば、2023年の1年目の時も、私の理想とするストライカーを獲ろうとしている間に、ブライアン(リンセン)や(興梠)慎三に合わせる形でプレーしてもらっていました。その後に(ホセ)カンテが来ました」。

理不尽ゴールと話題になったホセ カンテだ。28試合で8得点を決めた。彼も、加入後すぐは波に乗れなかったが、その様子を見て、浦和レッズOBの永井雄一郎さんは「今は、Jリーグの独特な守備に合っていないだけだと思う。このまま続けていけば、結果を残すと思う」と予感を口にし、その言葉通り、終盤の浦和レッズ、マチェイを結果で助けた。

それは当時、戦術ホセ カンテ、ホセ カンテ頼みとも言えたが、明確な狙いと個々の特長が出ていた。

一方、今はどうだろうか。

福岡戦、戦術チアゴ サンタナであれば良いが、攻守ともに中途半端だった。福岡のGKを含む守備陣を称えるべき場面もあったが、チアゴの特長である「ボールをキープしたり、ゴールに向かっていったりするオプション(マチェイ監督談)」は、福岡戦で残念ながら影を潜め、キープしようとする姿勢は見えたものの、すぐにボールを奪われ、後方からポジションを追い越す余裕がなかった。個人戦術の物足りなさだけではなく、チームとしても、ボールを失うリスクを埋められなかった。

興行であるからこそ、特にホームでは、勝つことが求められる。ただ、戦いは生き物であり、どんなに内容が良くてもスコアに表れないのがサッカーだ。そのため、スタジアムの外では、別軸として、エンターテインメントを届けようとしている。仕上げが、公式戦だ。全部を勝て、とは言わない。少なくとも、選手の個性が生きる戦術、組み合わせであってもらいたい。決して前向きではない必死な姿は、見ていて苦しくなる。そして今いちど、意図なしのバックパスは要らない。

首位との勝ち点は8差までしかつめられなかったが、まだ8差とするためにも、天皇杯への準備と共に、チームの状態を上向きにしたい。

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