昨シーズン、埼スタにガンバ大阪を迎えた時、渡邊凌磨や吉田舜の同級、ボランチのG大阪・鈴木徳真は、淡々と試合をこう振り返っていた。
「もう少しボールを持ちたかったけれど、浦和にボールを持たれたので、少しキツイ展開にはなりました。だけど、これはサッカーなので、守備にまわる展開もあれば、攻撃にまわる展開もある。それを整理しながらプレーしました。難しかったし、嫌でしたよ。浦和に選択肢を何個も持たれているような状況だったので。ボランチとしては、行かなきゃいけないところが定まらないというのは、ずっとキツい状態ですから。ただ、前線の選手が、ショートカウンターで結果を出してくれた。それが結果に繋がりました」。
結果は、今節と同じ0対1で、G大阪が78分に決めたゴールを守りきり、勝利した。
今節の敗戦が決まって、あの時と同じ感覚を覚えたのだ。ボールは持てるけれども、ゴールに近づけない感覚。当時はヘグモサッカーで、現在とは異なる志向のサッカーではあるが、G大阪に中盤を支配されたという点では同じだ。
今節は、より出来ることが限定させられたという印象が残った。立ち上がりに西川周作の負傷交代で、あのスペシャルなフィードを失ったことも影響したが、前線の4枚が封じられ、変化の少ない展開を強いられた。チャンスらしいチャンスは、中島翔哉が入ってからだ。
勝つためには、今後、ここを乗り越えなければならない。攻撃の迫力が足りなかったこと。ボールを奪った最初のところでミスが多かったために、試合のテンポが上がらなかったこと。課題は明確に感じているのが前向きだ。4バックの相手に対して、対角のパスやサイドに流れるなどしてスペースを作り出す動きが必要だったのでは?ローテーションも変化を加える部分に効果的だったのでは?試合後の選手たちからは、ビルドアップの選択肢を増やすために必要だと思われる策がいくつも挙がった。
カウンター攻撃という相手のアクションにリアクションするだけではなく、ビルドアップの部分で[0→1]を作り出すことが今後、求められる。
今節、G大阪の鈴木徳真は、また興味深い試合の振り返りをした。「前線にクオリティーのある、1人で打開できる選手が多くいる印象を持っていました。どれくらい仕事をさせないかという、どの形が好きかを理解した上で、好きな形を作らせないような形をすることによって、僕らとしては、自分たちのやりたいことに持っていけるという考え方で試合を戦っていました」と話す。
そして「直近の浦和さんの試合を見ていると、前線の4枚がカウンターで得点をとる、凌磨のひと振りで一気に試合を変える、というのをよく見ていたので、そこは(浦和が)自由なカウンターが出来なかったりすると、僕らとしては試合を運びやすいんじゃないかと試合中に考えていました。(相手の長所を)消しながら、自分たちのリズムに持っていくことを意識していました」と言葉を
続けた。
浦和のサッカーをG大阪にしてやられた。この敗戦を生かすかどうかは、次の戦いに向けたチームの振る舞いにかかっている。自信を持って、アイデアを共有して、要求して、アルビレックス新潟戦に臨んでもらいたい。
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