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試合レポート|J1第6節・鹿島戦=ポイント|レッズプレス!!
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J1第6節・鹿島戦=ポイント
(有賀久子)

先制点の裏側 この得点のように狙いあるプレーを見せたい
近年、6度の引き分けの歴史をここで断ち切ることは出来なかった。鹿島アントラーズ戦は、1対1のドロー。前・後半、互いに、45分をどのように締めようかという時間帯でゴールネットが揺れた。
浦和は45+4分に、松本泰志に待望の浦和レッズ初ゴールが生まれ、先制点に成功。後半、鹿島の時間帯が増えるが凌ぎ、スペースを生かしてゴールに迫る場面もあった。先制点が決勝点に変わるまで、あと少しだった。
90分、知念慶の同点弾。鈴木優磨が得点の演出者だ。つくづく、柴崎岳やレオ セアラのように、ベンチに追いやることが出来なかったことが悔やまれる。
FKからのルーズボール。ボールを持った時、彼はまだ、ゴールに背を向けていた。自身が反転してくるか。それとも、味方にボールを託すか。託すにしても、コースを限定すれば……。後半の浦和の姿を考えれば、鹿島優位かと思うような場面でも冷静に対応できていた。鹿島が、なかなか前にボールを運べず、最後尾まで下げざるを得なかったのが、その証拠。だが、この瞬間、彼の判断力が、浦和を上回った。
鈴木優磨の意外性は、まるで昨シーズンの武田英寿のFKのようだった。だが、ヒデの個人技とは異なり、今回の鹿島は、ボールを受けた植田直通の、ダイレクトであげたクロスを見ると、鹿島にとっては、決してこれら一連のプレーは、意外ではなかったのだろう。点のとり方を知っていた。
浦和の課題は、ここだ。偶発的ではない、狙いのあるプレー。この日あげた1点目のように、チームの中の狙いが明確で、相手にとっては意外なプレーを求め続けたい。
あのシーンは、流れの中で、GK西川周作がボールを受け、長いボールを入れた。ターゲットとなった金子拓郎とは意思疎通が出来ていた。25分のことだ。サヴィオがふくらはぎを痛め、治療に入った場面。マリウス ホイブラーテンは同サイドの荻原拓也に声をかけ、コミュニケーションを図っていた。
この時、ベンチの脇で指示を受けていた金子のもとに、西川が寄る。そして、何か耳打ちをした。この場面を西川に尋ねると「ショートで1回繋いでいたので、“そろそろ、行くよ”と拓郎には言って、“OKです”と。拓郎とは、常にコミュニケーションをとっていて、どこに蹴ってもらいたいかとか、どういうボールが良いかというコミュニケーションのもとでやれていたので、理想通りの、安西(幸輝)選手と競れるようなボールをうまく蹴られたかなと思います。僕の長所と彼の長所がうまく合ってきたのがあるし、もっともっと僕から拓郎、僕からタカ(関根貴大)とか、出来るかなと思います」と狙いを教えてくれた。
そして、西川ー金子で作った攻撃の起点を、相手サイドバックをつり出し、スペースを狙っていたのは関根だ。泰志の動きもよく見えていた。関根の、サイドを展開できるほどのキック力も生きた。こうした好機を、後半も作っていただけに、やはり相手を仕留める、もう1発が欲しい。
勝ち点3を鹿島から奪う。その決意と覚悟は全員が持ち、それを体現し続けた。一方で、その熱量と同じ分だけ、冷静にならなければいけない。“たれ・れば”ではあるが、鈴木優磨が最後までピッチに立っていたように、関根にも最後までピッチに立っていてもらいたかった。この試合にかけた関根の姿勢は、ストーリーの結末を変えた気がしてならない。
心理的な部分を含めて、このFIFAインターナショナルマッチウイークでは、どのように点を奪うか。その絵を全員で描いてもらいたい。
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