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無料練習レポート

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甲府戦がラストチャンス

危機感の薄さに感じる一抹の不安
あす23日、勝ち点18の浦和レッズは勝ち点17のヴァンフォーレ甲府と対戦する。何度もあった浮上のキッカケを活かせないまま後半戦を迎えた浦和レッズにとって、甲府戦が巻き返しの最後のチャンスとなるだろう。

現在の順位表を見ると、浦和と同じ勝ち点18のチームはアルビレックス新潟とセレッソ大阪。勝ち点19には大宮アルディージャ、ヴィッセル神戸、鹿島アントラーズがいる。そして、勝ち点17の甲府。つまり、勝ち点17から19の間に7チームがひしめき合う団子状態となっている。この混戦状態を抜け出し、上位進出をするためには、あすの甲府戦に勝利しなければならない。

こうした中、心配なのが「リーグはもう半分」というよりも「まだ半分」というチーム内の雰囲気だ。「ポジティブ」といえば聞こえはいいが、「危機感の薄さ」ととらえることもできる。7月、8月に行われるリーグ戦11試合を勝ち越せないようならば、残留争いに巻き込まれることは確実だ。(現在4試合を消化し、1勝3分)

ペトロヴィッチ監督に話を聞くと、これまでに改善された面があるとしながらも「まるでプレゼントするような失点もあった。そういったものがなければ、勝ち点12を上乗せできたかもしれない。ミーティングでは厳しく選手に喝を入れている。これまで60回、70回とチャンスがありながら、モノにできなかった。そのことを考えれば、(低迷している)理由は分かるだろう」と語った。ペトロヴィッチ監督は選手たちの危機感について触れなかったが、方向性は間違っておらず、あとは決定力とそれに伴う勝利が必要という結論を出した。

1999年、ペトロヴィッチ監督は土田、広瀬両コーチ、ともに浦和で降格を味わった。選手の中にも山田暢久、広島時代の柏木陽介、柏時代の永田充が降格を経験している。こうした選手たちが降格未経験の選手たちに危機感を促していかなければならない。

以前、J2降格を経験した選手から、こんな話を聞いたことがある。

「“まだ大丈夫。まだ大丈夫”と言っているうちに、あっと言う間に残り三試合となった。それでも“三試合勝てばいいんでしょ”という雰囲気だった。でも気が付いたら、チームは立て直せない状況になっていた。口ではみんな、“チームのため”と言いながら、心のどこかで来年の移籍先を考えていた」

今後勝利を積み重ねていけば、これらの指摘は杞憂に終わる。だが負けや引き分けを繰り返していくうちに、悔しさが薄れ、常態化してしまうことがもっとも恐い。迫りくる恐怖から目をそらすため、まるで念仏のように「まだ大丈夫」と自らに言い聞かせるようになる。そうなっては手遅れだ。上を目指していた浦和が、いつの間にか下ばかり気にするチームになっては悲しすぎる。

混戦を抜け出すチャンスは決して多くない。だからこそ甲府戦は勝たなければならない。あすは前半戦の低迷を帳消しにしてくれるような激勝、爆勝を期待したい。


(c)REDS PRESS