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フラッシュバック[2003年11月3日]

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フラッシュバック[2003年11月3日]

レッズプレス!!は2003年から浦和レッズに関わるニュースや練習レポート、試合データなどをお届けしてきました。フラッシュバックでは過去のレッズプレス!!から、思い出深いトピックスを紹介します。

今回紹介するのは2003年11月3日、浦和レッズが初めてタイトルを獲得したヤマザキナビスコカップ決勝の試合レポートです。

やったぜ優勝!!
鹿島 0vs4 浦和
《得点》
浦和:13分/山瀬功治、48分・86分/エメルソン、56分/田中達也
鹿島:なし


心に刻んだ90分
降りしきる雨は歓喜の涙に変わった。怒号のような浦和レッズコール。体の芯から震え上がる感動。監督・選手・スタッフ・サポーター、一丸となって夢見た優勝の味。勝った。浦和レッズは優勝した。二大会連続ナビスコカップ決勝。“連覇か、雪辱か”。浦和レッズの真価が問われる一戦は終始、浦和レッズらしい戦い方で10冠を狙う鹿島アントラーズを圧倒。スタンドの八割を占める浦和レッズサポーターの後押しを受けて、伸び伸びとした、思い描く通りのサッカーを展開した。3日(月・祝)14時9分キックオフ、浦和レッズにとって忘れられない90分間となった。

宿敵鹿島を粉砕!!
14時09分、運命のキックオフ。序盤から終始浦和ペースで試合は進められた。開始1分、エメルソンのゴールが決まったと思いきや、オフサイドの判定。しかし、浦和は攻撃の手を緩めない。4分にニキフォロフのフリーキックからこぼれ球を拾って山田、エメルソン、田中と渡るシュートを見せ、期待を持たせる序盤戦となった。前半13分、内舘が起点となり右サイドの田中から中央の山瀬がバックヘッドでゴールに流し込み、待望の先制点が生まれた。26分、ゼリッチとFWエウレルが接触。これによりエウレルは左内転筋に肉離れを起こし、交代した。攻撃の核になる選手がいなくなったところでが然、浦和ペースで試合が進んだ。

前半も終盤に差し掛かった頃、浦和にアクシデントが起きた。エメルソンと坪井が衝突。両選手とも流血しピッチに倒れこんでいた。坪井は担架で負傷退場、エメルソンは治療に時間がかかり、浦和は10人で試合をしなければならなかった。残り時間を必死で守りきり、前半を終了した。後半、頭に包帯を巻いて坪井がピッチに登場。サポーターからは坪井の出場に拍手が起こった。これに奮起したチームの攻撃が爆発する。後半3分には平川のスルーパスにエメルソンが独走し追加点を挙げる。11分には田中の三点目のゴール。15分にはMF小笠原の退場により、浦和は数的優位に立った。とどめは41分にエメルソンの駄目押し四点目のゴールで試合を決定つけ、試合終了。浦和レッズは93年Jリーグ開幕以来、初めてのタイトル・ナビスコ杯を制覇した。

内舘のプレーが勝利を呼び込む
この試合は立ち上がりで勝負がついていた。引いて守る相手を恐れず、キックオフの笛が鳴った瞬間に100パーセントの力を振り絞った選手たちの動きは、今までの臆病な浦和レッズではなかった。新しい浦和の形だった。きょうは何よりもキャプテン・内舘の動きが抜群だった事がうれしい。労を惜しまぬ献身的なプレーと強気な読みは、サイドの山田・平川の攻撃参加をサポートし、トップ下・山瀬につくマークを微妙に外した。浦和レッズのスピードサッカーのキーポイント、攻守の切り替えの起点となった。中盤での努力は、公式記録にもちゃんと残っている。彼のプレーが四得点のうち、三得点の起点となった。オフト監督が求めていた最終ラインと中盤・前線の橋渡し役をこの大舞台で完璧にこなした。キャプテンとしての重圧に耐えながら、自分たちのサッカーを信じ、ひたすらゴールに向かった内舘秀樹。表彰台に登り、ナビスコカップを掲げた姿は本当に格好良かった。

サポーターにも感謝 オフト監督
トニーニョ・セレーゾ監督会見中、備え付けられたテレビには、選手・スタッフと喜ぶオフト監督の姿があり、対照的な場面であった。鹿島の監督会見が終わって約10分後、雨にビショ濡れになったオフト監督が会見場に現れた。「やっとというんでしょうか。十年間一生懸命やって、タイトルを取れました」と笑顔を浮かべるものの「選手たちは喜んでいますが、リーグ戦がまだ残っている」といつものオフト節が展開された。坪井・エメルソンの衝突について「坪井の負傷箇所を縫う時間がどれだけかかるかドクターと相談し、5分間かかるというので一時退場させた。エメルソンは治療後を見て大丈夫だと思い、そのままプレーさせた」と答えた。「浦和レッズのサポーターは信じられない応援をしている。いい時も悪い時も、本当に良くやってくれる」とサポーターへの感謝の気持ちも忘れなかった。「サポーターに(自らの辞任は)七時に駒場にいけると思うので、その時に」と話し会見は終わったが、優勝報告セレモニーでの発表はなかった。

決勝 鹿島戦を振り返る 選手コメント
《キャプテン・内舘秀樹》
若い選手たちも試合に慣れて自信がついてきたと思う。個人的にはチームのためにという気持ちが強かった。(エメと坪井)二人いなくなって、なんとか乗り切った時、これはいけると思った。いつも通りにできたことが良かったと思う。

《鈴木啓太》
うれしいの一言。非常に苦しい時間帯もあったけれど、チーム全員で守りきる事ができた。相手の一番怖い(小笠原)選手が退場になった事も大きい。(退場後は)非常にやりやすくなった。きょうの敵は相手ではなく、自分たちがいつも通りのサッカーを表現できるかのメンタル面だと思っていた。

《山瀬功治》
一言、うれしいですね。優勝に少しは貢献できたかなと思い、うれしく思っている。(点は取ったが)自分のゴールがあってもなくても、そのうち点が入りそうな雰囲気であったのは確か。結果として、自分のゴールがチームに勢いをもたらす点になって良かった。

《エメルソン》
チーム全体で一生懸命戦い、(その結果)タイトルを取る事ができて良かった。僕自身は、まず試合に出れて良かった。自分としては(出場しても耐えて)20分間くらいかなと思っていたが、最後まで出場する事ができ、個人的にうれしい。二点取れた事でチームにも貢献できたと思う。(サポーターに向けて)今週は飲んで騒いでも許されるでしょう。僕は愛犬と喜びを分かち合います(笑)

《山田暢久》
(浦和レッズに入団し)ちょうど十年目になる。初めてのタイトル、非常にうれしく思う。試合開始から自分たちのペースで戦えた事が良かった。

《坪井慶介》
たくさんのサポーターの皆さんと喜びを分かち合えて良かった。後ろの人間としてはゼロで抑えていれば、前が必ず取ってくれると信じていた。(左眼上の裂傷は)多少縫った程度で、すぐに治ると思います。

《平川忠亮》
守備からしっかりやろうと思った。前半はしんどかった。敵に合わせるのでなく、自分たちのペースで仕掛けていこうと思った。

《長谷部誠》
(坪井負傷の時)ウチさん(内舘)が左センターバックになって自分がボランチになることも考えられたので、いつでも準備はできていた。スタメンで出場したかったが、ナビスコ杯の予選から試合には出ていたし、優勝できたのはうれしい。

《都築龍太》
三点目を取って、小笠原選手が退場したので楽になった。雨やセットプレーからの予想できないプレーに対して、最も気をつけた。負傷退場した時は少し、下がり目に守っていた。フォワードの二人は本当に頼もしかった。

《ニキフォロフ》
何回かのピンチに都築はよく防いでくれた。我々のチームは勝ちに等しいチームであったが、相手の鹿島も同じくらい勝ちに等しいチームであった。

試合データ
2003Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝 鹿島アントラーズ戦
日時:2003年11月3日 14:09キックオフ
場所:国立競技場
天候:曇りのち雨
気温:20℃
観衆:51,758人
審判:上川徹
副審:石山昇 名木利幸
第4の審判:柏原丈二

先発メンバー
浦和レッズ
GK
23 都築龍太
DF
 2 坪井慶介
 3 ゼリッチ
29 ニキフォロフ
MF
19 内舘秀樹
 6 山田暢久
13 鈴木啓太
14 平川忠亮
 8 山瀬功治
FW
11 田中達也
10 エメルソン

SUB
 1 山岸範宏
12 三上卓哉
20 堀之内聖
17 長谷部誠
 9 永井雄一郎

鹿島アントラーズ
GK
21 曽ヶ端準
DF
 2 名良橋晃
20 池内友彦
 3 秋田豊
 4 大岩剛
22 石川竜也
MF
 6 本田泰人
24 青木剛
 8 小笠原満男
FW
 9 エウレル
26 深井正樹

SUB
32 西部洋平
15 金古聖司
 7 相馬直樹
25 野沢拓也
27 中島裕希

《交代》
浦和:82分/FW田中→FW永井、84分/MF山瀬→MF長谷部
鹿島:26分/FWエウレル→FW中島、59分/DF石川→DF相馬、59分/DF池内→MF野沢

《警告》
浦和:33分/ニキフォロフ、53分/鈴木、77分/ゼリッチ
鹿島:9分/大岩、15分/池内、29分・60分(→退場)/小笠原、79分/本田



 
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