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REDSPRESS EYES|祝優勝!今季の浦和レッズレディース、ここが強かった!〜ライター石田達也編|レッズプレス!!

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祝優勝!今季の浦和レッズレディース、ここが強かった!〜ライター石田達也編

今回はレッズレディース優勝を祝し、その強さがなんだったかについて各識者に寄稿いただいています。


(石田達也)

指揮官が描いたものの浸透

ここまでの道のりは平坦なものではなかった。新型コロナウイルスの影響で4月7日に緊急事態宣言が発令されると、チーム全体の活動もおよそ2カ月間休止。5月末の再開後も感染予防対策を講じた上で、少人数グループでのトレーニング状態が続いた。全体トレーニングがスタートし、ゲーム形式を中心したトレーニングを行えるようになっても、体力面などの心配はつきまとった。それでも選手たちは、サッカーの楽しさやボールを蹴る喜びに感謝しつつ、困難な状況下でも前を向いてトレーニングを積み重ねた。

森栄次監督が掲げたものは、昨季からの“つなぐサッカー”を継続しながら、ショートカウンターを繰り出すために「高い位置からボールを取りに行くこと」と、守備を強化するために「失点数を、一桁にすること」だった。

積極的に高い位置でボールを奪い、攻撃に転じることで、試合ごと支配するハーフコートゲームを目指した。それをピッチで表現するため、素早い攻守の切り替えと球ぎわを強化ポイントに上げて、チームに落とし込んだ。

リーグ戦が始まると、指揮官の描いたものが結果となって表れる。[4−2−3―1]を基本布陣とし、前線から連動したプレッシングを敢行。相手陣内でボールを奪うことでショートカウンターを発動させるだけでなく、右サイドバックのDF清家貴子が力強いドリブルでボールを運ぶと、鋭いクロスを連発し、ゴール前に送る。

また、ドイツのフライブルグから復帰したMF猶本光がフィニッシュへの味付けをした。これまで中盤で捌くことを主としてきたが、1.5列目でプレーすると、ゴールに向かうプレーが増えた。ピッチの局面局面に顔を出し、ボールを引き出すだけでなく、ミドルレンジからのシュートやFKで相手に脅威を与えた。

そして、1トップに構えるFW菅澤優衣香は、ボールを受けると、チームメイトの期待に応えるように次々とゴールネットを揺らした。

「チームの勢いになる得点は必要だと感じていて、チームに加入して2、3年は得点が取れてきて、4年目で自分が取ってチームを勝たせたいという意識が高くなった。チームも自分に得点を取らせようと思ってくれているのを感じている」(菅澤)。

菅澤自身もクロスの標的になるだけではなく、背後への動き出しをすることで守備の的を絞りにくくする。

森監督は「菅澤の1トップが効いている。フィットしているし、飛び出しも出来ている。献身的な動きも良い」と手放しで称える。

菅澤にボールを集めることが、チームの共通認識となっていた。その証拠に彼女のシュート数は60本(11月8日現在)。2位の浜田遥(マイナビベガルタ仙台レディース)は52本。直近の2試合は怪我で欠場したことを考えると、もっと差は開いていただろう。

このシュート数はチームとして得点を取るための絶対的手段としてエースにボールが集まっていたことが分かる記録だ。エースの存在なくしては、この優勝は得られていないだろう。

また、球ぎわの強さも際立っていた。第13節ジェフL戦(3−0)は、個の力、局面のパワーで相手を押し切っての完勝劇でもあった。

1対1の場面でボールを奪うと素早いトランジッションで攻撃へと転じる。選手同士の距離間が良いことでボールを奪われても、すぐに奪い返して攻撃へつなげた。

今季、チームに加入した上野紗稀は「レッズレディースは個々の技術が高く、練習から良い部分を引き出す声掛けやコミュケーションが取れている」と好調の理由を話した。

勝つためには何をするのかーー。

“個を磨き上げ、前向きにチャレンジをする。目的を達成するためには、常に全力で挑むこと”だと、美しく強い女王のプレーは、その問いについて、雄弁に語っていた。

(レッズプレス!!ライター石田達也)

■最終戦はスタジアムで!■
浦和レッズレディース、最後のプレナスなでしこリーグ。最終戦は、ホーム浦和駒場スタジアムで行われる。
11月21日(土)13時キックオフ
ノジマステラ神奈川相模原戦

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