「せっかく負けたんだから、もう一度、思い返そう」(楠瀬監督)。2年ぶりの完封負けがもたらすものとは
前節・アルビレックス新潟レディース(以下・新潟L)について触れたい。
周知の通り、試合は後半6分、セットプレーから失点。追いつくべく、浦和は前がかりに攻めたものの、崩しきれず、逆に終了間際、ショートカウンターから失点し、0-2の敗戦となった。
それなりに決定機を作りながらもあと一歩届かなかった新潟L戦。
この敗戦を楠瀬直木監督は機運(=時のなりゆき)という言葉で表現した。
「サポーターも、みんなが・・・機運というか、いままでモヤモヤしたものが新しい監督が就任して、とにかくやってみようというのが出て、『レッズにチャレンジだ!』という気持ちが選手、スタッフ、チアガールの人たちからも感じられた。新潟にとっていい流れになってきたなと感心していた」
「2失点目は、最後、前にあげたので・・・仕方ないとは言いたくなくが、ここ(浦和)で苦労して苦労した柳澤(紗希)に決められ、機運にもっていかれたなと」
チームのムード。スタジアムのムード。そして浦和OBが決めるという展開。
楠瀬監督の機運という言葉はわからなくもない。
しかし、その機運なるものを大きな敗因にもしたくはない。
明らかに原因は決めるときに決めなければならないということにほかならない。
実は新潟戦を暗示するような言葉があった。
今月6日、公開練習の際、水谷有希は「失点より得点のほうが気になる。前半、負けるあるいは引き分けで折り返すほうが気になる。気持ち的に安心したいというか・・・前半で点を取れていないことは試合の進め方の難しさを引き出してしまっている」と指摘した。
対戦相手の多くは浦和の攻撃に対して守備で対抗する。
その守備を浦和は根気よく、個や組織、それらの連係で攻め、こじあけてきた。
繰り返しになるが、柴田華絵が言うところの「前に出ると決めたら、前に出る。それで失点したら、仕方ない」という共通意識。
それがここ数年、うまくいっており、成功体験として息づいている。
しかし新潟L戦では通用せず、無得点での敗戦。ちなみに公式戦での完封負けは2021‐22Yogibo WEリーグ 8節 INAC神戸(11月7日)戦以来、約2年1カ月ぶりだ。
「あのような負け方は悔しくてたまらない。試合後、整理できなかった(安藤梢)」
この敗戦は勝ち慣れたチームにとって当然、ショックである一方で、ある種、新鮮な感覚かもしれない。
大事なのはどのように処理するか。その気持ちをどう向かわすべきか。
楠瀬監督はこう語った。
「(敗戦は)ショックはショックだが、チャンスは作れていた。プラン通りにはいけていたので、選手には『悔しさはあるが、満足している。評価している』と伝えた。
勝点「3」のことはあるが、そこは置いておいて、やっていることに間違いはないし、やれている。辛抱強く、継続していこう」
さらに「せっかく負けたんだからプレーの優先順位とか、もう一度、思い返そうと。調子のいいときには素直に聞き入れないときもある。心機一転ではないが、目をさまして、もう一度、やっていこうと」
つまり反省すべきことはあるが、だからといって反省しすぎる必要はない、というべきか。
と同時にやってきたこと。やろうとしたことに間違いはない。
だからこそ敗戦をキッカケにもう一度、チームを、個人を見直そうという楠瀬監督の呼びかけと考えられる。
これに「足りないところを受け止め、チャレンジャーとして、敗戦から学ぶではないが・・・もうひとつ強くなったとしていえるようになりたい」
この安藤の言葉がその回答ではないだろうか。
理想としては水谷が示した前半、早い時間帯で首尾よく点を決め、不安要素を極力、回避し、主導権を握り続け、勝つ試合。
安藤の言葉を借りれば
「もうひとつ強くなったといえるように」というのはこういうことではないだろうか。
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