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レディース練習レポート|リーグ戦延期から見えたレッズレディースの現在地|レッズプレス!!

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リーグ戦延期から見えたレッズレディースの現在地

(佐藤亮太)


今週末の試合はいったいどうなるのか?どうなってしまうのか?と気を揉んだが最終的に試合延期となった。

今月4日(土)に予定されていたyogiboWEリーグ第11節のアルビレックス新潟レディース(以下・新潟)戦にむけ、三菱重工浦和レッズレディース(以下・浦和)はきょう午前、さいたま市内でトレーニングを実施された。

メニューは「7対7+フリーマン」およびフィールドを広くし「8対8」のゲーム形式のトレーニングなど、約1時間弱、行った。

練習中の時点で、なでしこジャパンに招集された選手たちの今節の出場はできないとされた。

「全体練習が終わったら、え!?という感じ。試合に出られないと明言されて……どうしようかなと」とオンライン会見での楠瀬直木監督。「もしもと思い、森総監督と構想は立てていたが……」とある程度、想定したものの動揺は隠せない様子だった。

代表組抜きになりかけた新潟戦。

緊急事態には間違いないが、だからこそいまの浦和が様々、見えてきた。

「チャンスと思っている選手もいると思う」

「女王、女王と言われても何も証明されていない。代表がいなくてもやれる底力を証明しなければならない」

「赤いユニフォームを着ているメンタルはある。きれいなサッカーより、泥臭いサッカーをしたい」

楠瀬監督の言葉から期待や意地、勝利への執着が感じられた。
そしていまのチームの現在地も見えてくる。

ことしはじめ、楠瀬監督は今季の課題について、チーム全体の底上げを挙げた。

多く代表に招集される、あるいは代表経験のあるレギュラー組を差し置き、名乗りをあげる選手が現状いるかどうか?そこを図る絶好の試金石となったはずだ。

これに呼応したのが、出番を待つ選手たち。

練習後のオンライン会見で「やってやるという気持ちはある」と気炎を上げたルーキーのGK福田史織。

福田はプレシーズンマッチ・アウェイノジマステラ神奈川相模原戦(5−1)で12分間プレーしたものの、リーグではここまでベンチスタート。絶対守護神GK池田咲紀子不在で存在感を示したかった。

福田は「下からの突き上げは大事。ルーキーだがもっと上の選手にしっかり指示を出していかないと守っていきたい。ビビらずにどんどん言っていって、無失点で抑えたい」と語っていた。

そして福田同様、リーグ初出場を目指すMF柳澤紗希も同じ思いだ。

豊富な運動量と高い技術、そして味方を励ます大きな声が特長の柳澤は「WEリーグのチームはほかの選手と同じプレーをしていては試合に出られないと感じる。最低限の技術、スタミナをあげながら、自分のストロング、誰にも負けないものを出せないと生き残れない、そう肌で感じている。チームメイトでありライバルである選手が持っていないものを出していきたい。新しい風を出していきたい」と意気込みを語った。

そしてMF水谷有希。

主力のひとりと誰もが疑わないが、本人は「今シーズンの出場の仕方を見ると例年より少ない」と満足していない。

調べてみるとたしかにそうだった。

昨季、水谷は公式戦23試合中、皇后杯決勝戦以外、先発出場。うちフル出場は19試合とレギュラー格と言えた。なでしこジャパン高倉麻子前監督のもと、代表メンバーにも招集された。

しかし今季、リーグ9試合で8試合に出場。うち2試合は途中出場で、途中交代は3試合。フル出場3試合と水谷のいうように出場時間の割合は短くなっている。

「試合に出られていないということは否が応でもほかの選手と比べなければならない。そこで自分はどうなのかを考えたなか、具体的なポイントが見えてきた」

水谷は自分に何かが足りないと見つめ直した。

「守備が甘いということで評価されていると思う。でも、そんなことはないよというプレーを示したい。わたしがゲームに入っていることでボールを失う回数が少なくなる、そしてゴール前に行く回数が増やすことができたら、評価も変わってくる。自分にできることとやらなければならないことを理解しないといけない」と話していた。

こうした緊急時に活躍した選手がのちに自身の立場を大きく変えたケースはいくらでもあった。まさに出られない選手たちの目の前にあったと言えた。

筆者自身、このメンバーでどこまでやれるのか?不安でもあり、楽しみでもあった。

しかし今回の延期措置。WEリーグの判断は至極まっとうである一方、モチベーションがグッとあがった選手にとっては少々、やりきれなさを感じたかもしれない。

それとともに、代表抜きのメンバーを予想するうち、改めて気づかされたことがある。

それは長期離脱中のMF栗島朱里DF長船加奈の不在の大きさ。そして複数のポジションをこなせる選手がいながら、2枚のセンターバックを担える選手が現状、見当たらないこと。つまり、選手層が案外、薄いという現実だ。

その薄さをトレーニングで埋めるのか、それとも補強で補うのか。

皇后杯を含めた、約4カ月のウィンターブレイクでの手腕が問われる。

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