(有賀久子)



伊藤美紀、自分らしさを出し、進化し続ける〜WEリーグ再開・千葉L戦で勝利呼びこむ先制点

三菱重工浦和レッズレディース・楠瀬直木監督が「正直に言って、すごく苦しいゲーム」と振り返ったように、3月3日(月)にホーム浦和駒場スタジアムで行われた、WEリーグ後半戦突入となるリーグ第12節・ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦は、試合を支配することは出来なかった。

午後から降り始めた雪によるピッチコンディションの影響があったかもしれないが、この日は、ミスが多く、テンポ良くボールを繋ぐ場面は少なかった。それでも前・後半に1得点ずつ、2対0で勝利し、得失点差で2位に浮上したのは、3連覇を狙うレッズレディースとしては大きな1勝だ。

猶本光が、先発出場でWEリーグ復帰を果たし、バースデーゴールなるか?!など多くの注目ポイントがあった試合の中で、無双状態だったのは、ボランチに位置した伊藤美紀。自身11度目のシーズンを戦っている。

今回、対戦相手が千葉で、降雪によってピッチコンディションも変化する中で、ボランチの伊藤が意識したことは何かと尋ねると、「まずは、守備から入るというところを意識していたんですけど、千葉さんの攻撃の形として、シャドーの2枚のところに入れてくるのをポイントにしていました。ただ、前半はそこを気にしすぎて、最初のほう、ちょっと前に行けなかったりとか、こぼれ球が拾いにくかったり、というシーンがありました。修正しながら、時間が進むと共に、みんなの距離感も良くしつつ、回収してマイボールにできる時間が増えていったのが良かったなと思います。自分たちで修正できた、というのがすごく良かったかなと思います」と振り返った。

前半戦との違いは、猶本光の復帰だ。

皇后杯で短い時間ながら復帰した猶本が、リーグ戦では確かな戦力になるために、復帰からの1ヶ月間、練習で状態を上げてきた。猶本がピッチに戻ってきて、トップ下とボランチの縦関係になった今、お互いの良さを出すために、伊藤はどんな点を意識したのか。



伊藤は「(猶本)光さんは、いつもフリーマンみたいな感じで、相手が嫌なところにフリーで受けるのが上手いなという風に思っていて。自分がボランチをやる時は、常に光さんの位置を意識しています。良い位置で受けて、ワンタッチでもしっかりと精度の高いボールを落としてくれるので、自分が光さんにボールを入れることと、他の人がボールを持っている時には、3人目で入っていくことを意識してやっていました」と話した。

レッズレディース在籍2年目のシーズンにあたる現在、伊藤は、“自分らしさ”を出すことを掲げている。1年目、チームのスタイルがすでに築かれている中での移籍は、いくら経験豊富な伊藤であっても苦しんだ。「自分らしいプレーが100%出来ていたかと言ったら、難しい部分もありました」と振り返り、スタメンから外れた時期などは「もがいていました」と話していた。

伊藤美紀、2年目のレッズレディース〜まだまだ出せていないこと、持っていても出せなかったら、持っていないのと一緒だから

「自分たちから相手を動かして、ゲームを組み立てていく、ゲームを握っていくというゲームコントロールを、自分からも、どんどん発信して伝えていければ」と2年目の決意を話していた言葉通り、伊藤は今シーズン、練習で、ピッチで、対話の場を大事にしながら、チーム全体で高めあう姿勢を見せ、さらに自身の変化にも、どん欲だ。

昨シーズンは「ヘディングでゴールを決める」という目標を持って、練習を積んだ。

リーグ終盤の第17節・サンフレッチェ広島レジーナ戦で、伊藤はヘディングシュートで先制点を決めたが、この時期も、右サイドバックの遠藤優にクロスボールを入れてもらうなど、とにかく練習を重ねて、自信を持って試合に臨み、結果に繋げた。「来た!という感覚で入れたので、その感覚はだいぶ変わってきたなと思います」(昨シーズン・S広島R戦後)と嬉しそうに話していた。

今回は、自身がキッカーを務めた右CKの流れで訪れたシュートチャンス。こぼれ球をミドルレンジから力強いシュートを放った。

「分析で、こぼれのところが空いてくるというのは、GKコーチから言われていたので、みんなが、そこの意識を持っていました。沖縄合宿の時から、私は、シュートの練習をずっとしていたんです。前半戦、なかなか点を取る機会がなかったので、ミドルシュートはずっと狙っていました。練習の成果が出て良かったなと思いますし、これからどんどん、自分のシュートの形として持っていけたら良いなと思いました」と話した。

WEリーグ、今シーズン12試合目にして初ゴールとなった。

伊藤は「皇后杯とAWCLで取っていたので、ゴールを取れていないという感覚は、自分の中ではあまりなかったんですけど、リーグ戦で、と考えた時に、“あぁ……”となりますし、結構考えるものがありました。去年は(清家)貴子が突破してくれて、クロスというところで、飛びこむ形が多かったんですけど、今年は、それ以外にも、自分の中でシュートの形というのを作らなきゃいけないな、と前期を振り返って考えることが出来たので、自分の新しい引き出しを増やす部分でも良かったなと思います」と笑顔を見せた。

伊藤美紀、まだまだ進化する。


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伊藤美紀、自分らしさを出し、進化し続ける〜WEリーグ再開・千葉L戦で勝利呼びこむ先制点

(有賀久子)



伊藤美紀、自分らしさを出し、進化し続ける〜WEリーグ再開・千葉L戦で勝利呼びこむ先制点

三菱重工浦和レッズレディース・楠瀬直木監督が「正直に言って、すごく苦しいゲーム」と振り返ったように、3月3日(月)にホーム浦和駒場スタジアムで行われた、WEリーグ後半戦突入となるリーグ第12節・ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦は、試合を支配することは出来なかった。

午後から降り始めた雪によるピッチコンディションの影響があったかもしれないが、この日は、ミスが多く、テンポ良くボールを繋ぐ場面は少なかった。それでも前・後半に1得点ずつ、2対0で勝利し、得失点差で2位に浮上したのは、3連覇を狙うレッズレディースとしては大きな1勝だ。

猶本光が、先発出場でWEリーグ復帰を果たし、バースデーゴールなるか?!など多くの注目ポイントがあった試合の中で、無双状態だったのは、ボランチに位置した伊藤美紀。自身11度目のシーズンを戦っている。

今回、対戦相手が千葉で、降雪によってピッチコンディションも変化する中で、ボランチの伊藤が意識したことは何かと尋ねると、「まずは、守備から入るというところを意識していたんですけど、千葉さんの攻撃の形として、シャドーの2枚のところに入れてくるのをポイントにしていました。ただ、前半はそこを気にしすぎて、最初のほう、ちょっと前に行けなかったりとか、こぼれ球が拾いにくかったり、というシーンがありました。修正しながら、時間が進むと共に、みんなの距離感も良くしつつ、回収してマイボールにできる時間が増えていったのが良かったなと思います。自分たちで修正できた、というのがすごく良かったかなと思います」と振り返った。

前半戦との違いは、猶本光の復帰だ。

皇后杯で短い時間ながら復帰した猶本が、リーグ戦では確かな戦力になるために、復帰からの1ヶ月間、練習で状態を上げてきた。猶本がピッチに戻ってきて、トップ下とボランチの縦関係になった今、お互いの良さを出すために、伊藤はどんな点を意識したのか。



伊藤は「(猶本)光さんは、いつもフリーマンみたいな感じで、相手が嫌なところにフリーで受けるのが上手いなという風に思っていて。自分がボランチをやる時は、常に光さんの位置を意識しています。良い位置で受けて、ワンタッチでもしっかりと精度の高いボールを落としてくれるので、自分が光さんにボールを入れることと、他の人がボールを持っている時には、3人目で入っていくことを意識してやっていました」と話した。

レッズレディース在籍2年目のシーズンにあたる現在、伊藤は、“自分らしさ”を出すことを掲げている。1年目、チームのスタイルがすでに築かれている中での移籍は、いくら経験豊富な伊藤であっても苦しんだ。「自分らしいプレーが100%出来ていたかと言ったら、難しい部分もありました」と振り返り、スタメンから外れた時期などは「もがいていました」と話していた。

伊藤美紀、2年目のレッズレディース〜まだまだ出せていないこと、持っていても出せなかったら、持っていないのと一緒だから

「自分たちから相手を動かして、ゲームを組み立てていく、ゲームを握っていくというゲームコントロールを、自分からも、どんどん発信して伝えていければ」と2年目の決意を話していた言葉通り、伊藤は今シーズン、練習で、ピッチで、対話の場を大事にしながら、チーム全体で高めあう姿勢を見せ、さらに自身の変化にも、どん欲だ。

昨シーズンは「ヘディングでゴールを決める」という目標を持って、練習を積んだ。

リーグ終盤の第17節・サンフレッチェ広島レジーナ戦で、伊藤はヘディングシュートで先制点を決めたが、この時期も、右サイドバックの遠藤優にクロスボールを入れてもらうなど、とにかく練習を重ねて、自信を持って試合に臨み、結果に繋げた。「来た!という感覚で入れたので、その感覚はだいぶ変わってきたなと思います」(昨シーズン・S広島R戦後)と嬉しそうに話していた。

今回は、自身がキッカーを務めた右CKの流れで訪れたシュートチャンス。こぼれ球をミドルレンジから力強いシュートを放った。

「分析で、こぼれのところが空いてくるというのは、GKコーチから言われていたので、みんなが、そこの意識を持っていました。沖縄合宿の時から、私は、シュートの練習をずっとしていたんです。前半戦、なかなか点を取る機会がなかったので、ミドルシュートはずっと狙っていました。練習の成果が出て良かったなと思いますし、これからどんどん、自分のシュートの形として持っていけたら良いなと思いました」と話した。

WEリーグ、今シーズン12試合目にして初ゴールとなった。

伊藤は「皇后杯とAWCLで取っていたので、ゴールを取れていないという感覚は、自分の中ではあまりなかったんですけど、リーグ戦で、と考えた時に、“あぁ……”となりますし、結構考えるものがありました。去年は(清家)貴子が突破してくれて、クロスというところで、飛びこむ形が多かったんですけど、今年は、それ以外にも、自分の中でシュートの形というのを作らなきゃいけないな、と前期を振り返って考えることが出来たので、自分の新しい引き出しを増やす部分でも良かったなと思います」と笑顔を見せた。

伊藤美紀、まだまだ進化する。


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