(佐藤亮太)

大団円の裏にあるピッチ内外の相互補完。本当の戦いは始まったばかり


今季最多の4905人。優勝トロフィーが掲げられた瞬間、浦和駒場スタジアムに歓喜とともに大量の紙吹雪が舞った。

大宮Vに4−0。

個人技を生かした猶本の技ありループシュート。そして小気味よいパスで崩しからの島田の得点。相手のミスを見逃さなかった清家の2得点。得点はいずれもレッズレディースらしいものだった。

とはいえ、前節の敗戦。今季最後のホームゲーム。さいたまダービー。優勝がかかる一戦とあってか、特に前半立ち上がりはどこか攻め急ぎの感があった。

だが、引き締めたのは24分、1点目直後。

喜びもそこそこに円陣を作って「もう1点取りに行こう」「ゼロで抑えよう」と再確認。

この気概が今季8試合目の完封勝利につながった。

WEリーグ2代目女王。昨年8月下旬から始まり、2ヵ月のウィンターブレイクを挟む約10か月におよぶ今シーズンはリーグ・カップの2冠制覇となった。

傍目に見ると、順調そのものに見える。

しかし南萌華の移籍に加え、昨季の主力たちの相次ぐ長期離脱。特にリーグ序盤はこれからどうすればいいのか、どうなっていくのか、見ているほうも、プレーする選手も途方に暮れた。

しかし、ここを乗り切れた理由はいくつかある。

森監督時代に培ったベースとなるサッカーを変えることなく、続けたこと。

福田、石川、島田らアンダーカテゴリーで代表経験のある選手たちが与えられたチャンスを見事、つかんだこと。

さらに塩越のボランチ。遠藤の右サイドバック。水谷の左サイドバック。清家の右MF。安藤のボランチ→センターバックと数多くのコンバートがズバリ的中。大幅な戦力ダウンを間逃れた。

もともと複数ポジションができる選手ばかりでその素養はある。

とはいえ、安藤のセンターバックはさすがに驚かされたが、楠瀬監督の眼力が功を奏した。

この3つが考えられる。

ただそれだけではない。いや、もっと重要なことをミックスゾーンで選手たちは思い出させてくれた。

それはこれまでに何度か出てきた相互補完。それはピッチのなかだけではない。ピッチの外も含めた相互補完だ。

「お互いを見ながら、プレーすることでお互いをよく知るようになった。さらに個の力が出せるようになった」(清家)

「チームワークがいい。経験上、中学のころ、よい雰囲気のチームだったので優勝できたと思う。高め合うプラス仲が良いというのは大事」(石川)

「試合に出ている選手は出ていない選手のためにも責任もって戦えているのがこのチームの良さ。励まし合って、助け合ってひとつひとつ戦えた実感がある」(塩越)

「個の力の強さが前提にあって、互いを理解しながら、お互いの良さを出し合いながら、またできないところはカバーしあって、良いところを出していこうというマインドが、たとえメンバーは替わっても勝ち切れた強さと思う」(水谷)

「チームの毎日の雰囲気作りからできた優勝」(遠藤)

「簡単に言えばよいチーム。全員で誰かのせいにする選手もいなかった。ひとつの課題について全員がどうしていくかとプラスの話しができた」(猶本)

「仲間のために犠牲心をもって行動できるし、ホントに良い子たちですし(笑)・・・チームのため、クラブのために動けるのが、このチームの良さ。それがプレーに出ていた」(安藤)

安藤塾といった居残り練習を含めたプレーや技術のシェアも然り。

誰かのために戦う、戦えるという心遣い。

その都度、開かれた選手同士の話し合い。

またそうしたチームの一体感を生み出す監督・スタッフ陣の環境作り。

なにか足りないものをみんなで持ち寄り、ジグソーパズルのようにハメあわせたその結果のように思える。

きょうでひとつの大きな区切りとなったわけだが、問題は来季。

目指すは当然、連覇となるがチーム編成はどうなるのか。

新たな競争を生むべく補強を行うのか。それとも出場機会を得るため、あるいは新たな挑戦のため旅立つのか。

またミックスゾーンで遠藤は代表入りを口にし、今季初ベンチ入りした池田は「もう一度」と野心を燃やす。

池田だけでなく?橋、長船、栗島、佐々木もレギュラー獲りにまい進するだろう。

晴れ晴れとした大団円はこれから始まる本当の競争の合図にしかすぎない。


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WEリーグ第21節・大宮アルディージャVENTUS戦=ポイント

(佐藤亮太)

大団円の裏にあるピッチ内外の相互補完。本当の戦いは始まったばかり


今季最多の4905人。優勝トロフィーが掲げられた瞬間、浦和駒場スタジアムに歓喜とともに大量の紙吹雪が舞った。

大宮Vに4−0。

個人技を生かした猶本の技ありループシュート。そして小気味よいパスで崩しからの島田の得点。相手のミスを見逃さなかった清家の2得点。得点はいずれもレッズレディースらしいものだった。

とはいえ、前節の敗戦。今季最後のホームゲーム。さいたまダービー。優勝がかかる一戦とあってか、特に前半立ち上がりはどこか攻め急ぎの感があった。

だが、引き締めたのは24分、1点目直後。

喜びもそこそこに円陣を作って「もう1点取りに行こう」「ゼロで抑えよう」と再確認。

この気概が今季8試合目の完封勝利につながった。

WEリーグ2代目女王。昨年8月下旬から始まり、2ヵ月のウィンターブレイクを挟む約10か月におよぶ今シーズンはリーグ・カップの2冠制覇となった。

傍目に見ると、順調そのものに見える。

しかし南萌華の移籍に加え、昨季の主力たちの相次ぐ長期離脱。特にリーグ序盤はこれからどうすればいいのか、どうなっていくのか、見ているほうも、プレーする選手も途方に暮れた。

しかし、ここを乗り切れた理由はいくつかある。

森監督時代に培ったベースとなるサッカーを変えることなく、続けたこと。

福田、石川、島田らアンダーカテゴリーで代表経験のある選手たちが与えられたチャンスを見事、つかんだこと。

さらに塩越のボランチ。遠藤の右サイドバック。水谷の左サイドバック。清家の右MF。安藤のボランチ→センターバックと数多くのコンバートがズバリ的中。大幅な戦力ダウンを間逃れた。

もともと複数ポジションができる選手ばかりでその素養はある。

とはいえ、安藤のセンターバックはさすがに驚かされたが、楠瀬監督の眼力が功を奏した。

この3つが考えられる。

ただそれだけではない。いや、もっと重要なことをミックスゾーンで選手たちは思い出させてくれた。

それはこれまでに何度か出てきた相互補完。それはピッチのなかだけではない。ピッチの外も含めた相互補完だ。

「お互いを見ながら、プレーすることでお互いをよく知るようになった。さらに個の力が出せるようになった」(清家)

「チームワークがいい。経験上、中学のころ、よい雰囲気のチームだったので優勝できたと思う。高め合うプラス仲が良いというのは大事」(石川)

「試合に出ている選手は出ていない選手のためにも責任もって戦えているのがこのチームの良さ。励まし合って、助け合ってひとつひとつ戦えた実感がある」(塩越)

「個の力の強さが前提にあって、互いを理解しながら、お互いの良さを出し合いながら、またできないところはカバーしあって、良いところを出していこうというマインドが、たとえメンバーは替わっても勝ち切れた強さと思う」(水谷)

「チームの毎日の雰囲気作りからできた優勝」(遠藤)

「簡単に言えばよいチーム。全員で誰かのせいにする選手もいなかった。ひとつの課題について全員がどうしていくかとプラスの話しができた」(猶本)

「仲間のために犠牲心をもって行動できるし、ホントに良い子たちですし(笑)・・・チームのため、クラブのために動けるのが、このチームの良さ。それがプレーに出ていた」(安藤)

安藤塾といった居残り練習を含めたプレーや技術のシェアも然り。

誰かのために戦う、戦えるという心遣い。

その都度、開かれた選手同士の話し合い。

またそうしたチームの一体感を生み出す監督・スタッフ陣の環境作り。

なにか足りないものをみんなで持ち寄り、ジグソーパズルのようにハメあわせたその結果のように思える。

きょうでひとつの大きな区切りとなったわけだが、問題は来季。

目指すは当然、連覇となるがチーム編成はどうなるのか。

新たな競争を生むべく補強を行うのか。それとも出場機会を得るため、あるいは新たな挑戦のため旅立つのか。

またミックスゾーンで遠藤は代表入りを口にし、今季初ベンチ入りした池田は「もう一度」と野心を燃やす。

池田だけでなく?橋、長船、栗島、佐々木もレギュラー獲りにまい進するだろう。

晴れ晴れとした大団円はこれから始まる本当の競争の合図にしかすぎない。


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