(佐藤亮太)

愚直なEL埼玉に勝てたいくつかの理由


これといったピンチはない反面、特に後半、攻めに攻めたものの、決め切れず…なんともじれったい試合に終止符を打ったのは清家貴子だった。

「再三、外していたので決めたいなと」と話すように自身のシュート数は両チーム最多の5本。しかも後半のみ。
思わず、背中が離れるシーンがあったが、どうも決まらない。

しかし「決めて勝つイメージはありましたので、(塩越)柚歩がパスをくれたので流し込みだけでした」と自信はあった。

先日のSheBelieves杯のゴールがそうさせたようだ。

苦しい試合となった要因。
それはEL埼玉の守備が愚直そのものだったから。ラインを崩さず、コンパクトに。起点の猶本は徹底マークされ、サイドは人数をかけ、封じられた。

おそらく今季の浦和にとってもっともてこずった試合であろうEL埼玉戦で勝てたのは、なぜか。

ひとつが守備の安定。GK福田、DF石川の俊英に加え、DF長船の復帰がより安定感を増している。守備が担保できれば安心で攻撃に専念できる。
そして前半、てんでダメだった攻撃が後半、見違えたのは特長を生かすべく2トップに変更したこと。

「そこはレッズレディースの強みというか、そうした戦い方ができました」(清家)
そうした戦い方というのは変更の意図や意味を踏まえ、試合の状況や選手交代からメッセージを読み取り、実行できた。

ここ数年、同じメンバーで同じサッカーをやり続けた、継続性の賜物。

さらに決勝点が猶本の助言、指示でうまれたことを考えれば、自己解決能力の高さがうかがえる。

そして終盤、0−0の状況で慌てる様子がチームになかったことが大きい。
ただでさえ攻め急ぎがちのチーム。少し前なら、良くて引き分け。最悪、カウンターから失点というゲームは過去にあった。

その意味ではチームはより成熟している。

多少、引き分けをよぎった栗島だが「チャンスさえ作り続ければ、いずれは決まる」と確信していた。
こうした自信がチームで共有していることがわかる。

また「なんとく大丈夫じゃないの感はありました」と語る水谷はこう続けた。
「強いチームというか…優勝を狙えるチームではあるんだなと。昨年、タイトルを取れず、その前、優勝できた、その両方を体験しているので、その雰囲気がことしには感じ、優勝を狙える感じはあります。なにかが起きるだろうと…言葉ではうまく言い表せない感じも、チームの強さのひとつ。ことしはあるんじゃないかと感じます」その先を見据えた。


どこまでも愚直な埼玉ELに対して、ある程度、なんでもできてしまう奔放な浦和。
ただ、できてしまうからこそ、どこかスキが生まれ、中途半端さが出てしまう。
そこを埋めるのがいまの浦和の課題。
そうでなければ、引き分けを許されない残り試合、そしてその先に待つINAC神戸との直接対決では勝てない。

いまの浦和はじゅうぶん強いはず。上を見ればキリがない。
でもそれは本気で優勝を狙っているなによりの証拠だ。

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WEリーグ第10節・ちふれASエルフェン埼玉戦=ポイント

(佐藤亮太)

愚直なEL埼玉に勝てたいくつかの理由


これといったピンチはない反面、特に後半、攻めに攻めたものの、決め切れず…なんともじれったい試合に終止符を打ったのは清家貴子だった。

「再三、外していたので決めたいなと」と話すように自身のシュート数は両チーム最多の5本。しかも後半のみ。
思わず、背中が離れるシーンがあったが、どうも決まらない。

しかし「決めて勝つイメージはありましたので、(塩越)柚歩がパスをくれたので流し込みだけでした」と自信はあった。

先日のSheBelieves杯のゴールがそうさせたようだ。

苦しい試合となった要因。
それはEL埼玉の守備が愚直そのものだったから。ラインを崩さず、コンパクトに。起点の猶本は徹底マークされ、サイドは人数をかけ、封じられた。

おそらく今季の浦和にとってもっともてこずった試合であろうEL埼玉戦で勝てたのは、なぜか。

ひとつが守備の安定。GK福田、DF石川の俊英に加え、DF長船の復帰がより安定感を増している。守備が担保できれば安心で攻撃に専念できる。
そして前半、てんでダメだった攻撃が後半、見違えたのは特長を生かすべく2トップに変更したこと。

「そこはレッズレディースの強みというか、そうした戦い方ができました」(清家)
そうした戦い方というのは変更の意図や意味を踏まえ、試合の状況や選手交代からメッセージを読み取り、実行できた。

ここ数年、同じメンバーで同じサッカーをやり続けた、継続性の賜物。

さらに決勝点が猶本の助言、指示でうまれたことを考えれば、自己解決能力の高さがうかがえる。

そして終盤、0−0の状況で慌てる様子がチームになかったことが大きい。
ただでさえ攻め急ぎがちのチーム。少し前なら、良くて引き分け。最悪、カウンターから失点というゲームは過去にあった。

その意味ではチームはより成熟している。

多少、引き分けをよぎった栗島だが「チャンスさえ作り続ければ、いずれは決まる」と確信していた。
こうした自信がチームで共有していることがわかる。

また「なんとく大丈夫じゃないの感はありました」と語る水谷はこう続けた。
「強いチームというか…優勝を狙えるチームではあるんだなと。昨年、タイトルを取れず、その前、優勝できた、その両方を体験しているので、その雰囲気がことしには感じ、優勝を狙える感じはあります。なにかが起きるだろうと…言葉ではうまく言い表せない感じも、チームの強さのひとつ。ことしはあるんじゃないかと感じます」その先を見据えた。


どこまでも愚直な埼玉ELに対して、ある程度、なんでもできてしまう奔放な浦和。
ただ、できてしまうからこそ、どこかスキが生まれ、中途半端さが出てしまう。
そこを埋めるのがいまの浦和の課題。
そうでなければ、引き分けを許されない残り試合、そしてその先に待つINAC神戸との直接対決では勝てない。

いまの浦和はじゅうぶん強いはず。上を見ればキリがない。
でもそれは本気で優勝を狙っているなによりの証拠だ。

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