(佐藤亮太)

WEリーグ開幕へのアップデートの軌跡 〜違和感の正体と光明〜

千葉戦を含めプレシーズンマッチを通じて違和感を禁じ得なかった。なぜなら昨季見られたようなうまさ、力強さが薄らいでいるように見えたからだ。

千葉戦での2失点はともにFW大澤の思い切りの良さでやられてしまったが、その前をたどれば、収めるべきボールを拾えず、味方の間をこぼれ球が通ってしまい、結果、決められてしまった。

総じて、昨季はなかった、許されない妙なパスミスや連係ミスが頻発。また相手を押し切れず、逆に簡単に押し切られてしまうことが多くなった。あの力強さはすっかりトーンダウンしてしまった。

ただ千葉戦後の会見を聞く限り、チームは昨季の継続を漫然とするのではなく、アップデートを図ろうとしていることは分かってきた。

戦術的にはよく分からないので詳しいかたに任せるとして……そのヒントだけは拾えた。

まず1つ目がポジションニング。

会見で『5レーン理論』という単語が出た。身近ではリカルド・ロドリゲス監督が進めるサッカーの根幹である。「そう意識していない」と話す楠瀬監督だが、「ポジショニングでボールを受けやすい角度をチームとしても意識している。代表メンバーが抜ける中、ほかの選手がそこに見合う技術を発揮するにはポジショニングが重要と感じている」。ポジションニングに伴うボールの運び方にもう一工夫、ふた工夫加えたい考えがある。


そして前への一辺倒ではない引く守備。試合後、失点の多さを問われた長船は「昨年はどんどん前に前に出てプレスを掛けたが、自分たちの中で無理だなと感じたり、疲れが出た際、状況を見て、行かない部分を作り、体力温存していく考え方がある」と状況を見ながらの緩急をつけた守備への志向がうかがえる。

さらにDFとボランチの間が間延びした不具合を説きながら「共通認識にズレがあり、間が空いてしまい、失点が多くなっている」と理由を語った。

この2点は全体から見れば些細なことかもしれないが、チームがアップデートを図ろうとしているのは確かだ。

その中、千葉戦で目に止まったのは残り15分の戦い。浦和は74分、81分、85分と2人ずつあわせて6人、若手選手を投入した。

どの選手もほぼ出場機会ない選手ばかり。千葉の猛攻にさらされるのではと思ったが、さにあらず。

思えば、みな勝手知ったるメンバー同士。ユース時代から、そして普段の練習から組むことが多いのか、スムーズに流れるようにボールが動く。そしているべき位置、いてほしい位置に人がいる。主力組に遠慮していたのかと思うくらい、彼女たちのサッカーをしっかり見せていた。

ただ楠瀬監督が言うように、もう少し長く見たかった。できれば後半15分あたりから。そうすれば、自信もさらなる課題も見えただろう。

懸案である主力と若手の差を埋めることにはある種の期待を見いだせた。

千葉戦を含めプレシーズンマッチは1勝3分1敗。勝利5割とはいえ戦績は物足りない。

昨季優勝チームの宿命。相手の傾向と対策以上のものを見せなければならない。そのためには狙いを持ち、段階を踏み、来るWEリーグ開幕に備え準備を進める。その意気込みは感じられる開幕前のラストマッチだった。




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(佐藤亮太)

WEリーグ開幕へのアップデートの軌跡 〜違和感の正体と光明〜

千葉戦を含めプレシーズンマッチを通じて違和感を禁じ得なかった。なぜなら昨季見られたようなうまさ、力強さが薄らいでいるように見えたからだ。

千葉戦での2失点はともにFW大澤の思い切りの良さでやられてしまったが、その前をたどれば、収めるべきボールを拾えず、味方の間をこぼれ球が通ってしまい、結果、決められてしまった。

総じて、昨季はなかった、許されない妙なパスミスや連係ミスが頻発。また相手を押し切れず、逆に簡単に押し切られてしまうことが多くなった。あの力強さはすっかりトーンダウンしてしまった。

ただ千葉戦後の会見を聞く限り、チームは昨季の継続を漫然とするのではなく、アップデートを図ろうとしていることは分かってきた。

戦術的にはよく分からないので詳しいかたに任せるとして……そのヒントだけは拾えた。

まず1つ目がポジションニング。

会見で『5レーン理論』という単語が出た。身近ではリカルド・ロドリゲス監督が進めるサッカーの根幹である。「そう意識していない」と話す楠瀬監督だが、「ポジショニングでボールを受けやすい角度をチームとしても意識している。代表メンバーが抜ける中、ほかの選手がそこに見合う技術を発揮するにはポジショニングが重要と感じている」。ポジションニングに伴うボールの運び方にもう一工夫、ふた工夫加えたい考えがある。


そして前への一辺倒ではない引く守備。試合後、失点の多さを問われた長船は「昨年はどんどん前に前に出てプレスを掛けたが、自分たちの中で無理だなと感じたり、疲れが出た際、状況を見て、行かない部分を作り、体力温存していく考え方がある」と状況を見ながらの緩急をつけた守備への志向がうかがえる。

さらにDFとボランチの間が間延びした不具合を説きながら「共通認識にズレがあり、間が空いてしまい、失点が多くなっている」と理由を語った。

この2点は全体から見れば些細なことかもしれないが、チームがアップデートを図ろうとしているのは確かだ。

その中、千葉戦で目に止まったのは残り15分の戦い。浦和は74分、81分、85分と2人ずつあわせて6人、若手選手を投入した。

どの選手もほぼ出場機会ない選手ばかり。千葉の猛攻にさらされるのではと思ったが、さにあらず。

思えば、みな勝手知ったるメンバー同士。ユース時代から、そして普段の練習から組むことが多いのか、スムーズに流れるようにボールが動く。そしているべき位置、いてほしい位置に人がいる。主力組に遠慮していたのかと思うくらい、彼女たちのサッカーをしっかり見せていた。

ただ楠瀬監督が言うように、もう少し長く見たかった。できれば後半15分あたりから。そうすれば、自信もさらなる課題も見えただろう。

懸案である主力と若手の差を埋めることにはある種の期待を見いだせた。

千葉戦を含めプレシーズンマッチは1勝3分1敗。勝利5割とはいえ戦績は物足りない。

昨季優勝チームの宿命。相手の傾向と対策以上のものを見せなければならない。そのためには狙いを持ち、段階を踏み、来るWEリーグ開幕に備え準備を進める。その意気込みは感じられる開幕前のラストマッチだった。




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