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浦和レッズレディースニュース|[なでしこ]矢野喬子が見る〜なでしこジャパン第3戦へ|レッズプレス!!

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[なでしこ]矢野喬子が見る〜なでしこジャパン第3戦へ

7月23日(祝・金)の夜、国立競技場で開会式が行われ、聖火台に火がともった。サッカー競技は男女ともに開会式に先立ち、グループステージ第2節までを終え、きょうは女子が、あす28日(水)は男子が第3節に臨む。


今回はロンドン大会以来のオリンピック出場となる、なでしこジャパンに注目し、浦和レッズレディースOGで元代表DFの矢野喬子さんに、第1節、第2節を終えた段階で話を伺った。現在、矢野さんは帝京平成大学女子サッカー部で監督を務めている。

初戦のカナダ戦は開始6分にサイド攻撃を許し、失点。84分に岩渕真奈のゴールで追いついて勝点1を手にしたが、課題が見えた。第2節のイギリス戦は74分に決勝点を奪われ、敗れた。

【第1節 vsカナダ】

オリンピックには、ワールドカップよりも独特な空気があります。他競技まで関わる日本を代表して戦う大会で、ましてや今回は自国開催。さらに経験が少ない無観客試合となり、緊張はあったと思います。

ただ、序盤の失点や苦しい戦いぶりに至った理由は、そんな緊張感から試合の入り方に問題が出た、というよりも、開始6分の失点にみられた守備に課題が出たと感じます。

我々の時代も、被サイド攻撃を自分たちのウイークポイントと感じ、その弱さを理解した上で「最後は中央を」と、クロスを上げられたあとの守備に人数をかけ、注力して準備していました。

男子で言えば、サイドでやりきる、そこに個のデュエルの重要性が求められますが、女子は個で勝負よりも、カバーの意識も高いぶん、そこがなかなかフォーカスされず、クロスを上げさせない意識よりも、中央をかためる意識が高いです。ただ、海外勢が相手の場合は、やはりクロスを上げさせてはいけない。その上で、中にも人数をかけられるかどうか。サイド攻撃に中が引っ張られた時、ゴール前にスペースが生まれてしまうことがあり、今回、そこを突かれました。なでしこジャパンがメダルを獲るには、失点をしないチームにならなければいけない。守備面は修正しなければいけない部分だと思います。

ゴールシーンは、岩渕選手のすごさを感じました。なでしこジャパンでは、あまり見られない攻撃の形でしたが、相手の足が止まった時間帯、岩渕選手の、DFの背後への抜け出しからの駆け引きがうまかったですね。スペースのつき方、相手がボールを奪いに行こうとしたその前にフィニッシュへ持ち込んだ判断力、そしてインサイドキックのシュートを決める技術面の良さ。海外勢にあのゴールを決められるのは、さすがエースだなと感じました。また、途中出場の杉田妃和選手は今後が楽しみな選手ですね。彼女がピッチに入ってからは面白かったですね。

【第2節 vsイギリス】

第1節が終わってサイドの話をしましたが、加えてパススピードに課題を感じました。攻撃のスイッチが入る時にはパススピードを上げようという狙いがとても見えるのですが、それ以外の部分、特にボールをポゼッションしている時、スピードが上がらない印象があります。

サイドの守備に関しては、今回は初戦よりも意識していたのかなというのがあるのですが、失点の部分はやはりサイド。1対1の状況からもう1人がカバーへ行って、2対1にしてボールを奪いに行こうとしたが、取りきれずにシンプルにやられてしまいました。また、クロスに対してのマークなども引き続きの課題だと思います。

浦和レッズレディースの塩越柚歩選手には、思いきりの良さを第3節で見せてもらいたいですね。合わせることを意識ではなく、ボールに関わり続けることを期待しています。

この第3節はグループステージの最終節で、勝たなければいけないという、初戦とはまた違う緊張感があると思います。その緊張感が悪い方向へ走らなければ良いな、という気持ちはありますよね。たとえば、チームで得点を取りに行きたい時に、個に走り過ぎてしまうとか。

チームで1点を取ることが大事です。1点が入ればね、ちょっと余裕も出ると思うのです。苦しまなければ良いなと思っています。攻撃の部分ですが、なでしこジャパンとして、もっともっと攻撃で強度が高いプレーが見たい。ゴール前のパワーとか。この第3節も杉田選手に期待します。彼女は唯一、守備でもとても強度が高い。次も是非、試合に頭から出て欲しいし、真ん中で見たいなという想いがあります。

私自身、“気持ちで”とかあまり好きじゃないのですが、でも今は何かそんな気迫、ゴールに向かう気迫や、1つのパスにこだわりを持つとか、このボールをどうしても奪い取るんだ、とか、そういう部分がゴールへの近道なのではないかと思います。泥臭くていい、キレイなサッカーだけじゃなくて。

守備はみんなが身体を張って守ろうとしているので、攻撃でもっともっとそういう部分を見たいと思います。


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