プレナスなでしこリーグ首位をひた走る浦和レッズレディース。
勝てば、6年ぶり4度目のリーグ優勝が決まるホーム浦和駒場での愛媛FCレディースを前にチームはきょう11月4日、さいたま市にあるレッズランドで全体練習を行った。
陽はすっかり落ち、空は真っ暗のなか、メニューはパス回しからスタート。ときおり歓声が聞こえるなか、コーチの「スピードより質を大事に」という指示にチームの基本のキがうかがえた。
その後、ハーフコートを使った7対7のゲームを終えたのち、11対11のフルコートでの紅白戦を実施。
ただメンバーを見るとスタメン組、サブ組と分けたものではなく、ユニットはごちゃまぜ。
その様子をじっと見つめる森栄次監督。頭のなかには愛媛FC戦を見越した構想が練られているはずだ。
約1時間半のトレーニングは終始、明るい雰囲気そのもの。しかし、決戦の日までひたひたとチームに忍び寄るものがある。
「ここからが簡単じゃない。どうしてもプレッシャーはある」とレッズレディース本部・宮崎義正部長。
この言葉は芯を突いていた。
練習開始前に行われたオンライン会見に応じたDF南萌華は「優勝はすぐそこまで転がっている」としながらも「最後まで気が抜けない。早く優勝して緊張から解放されたい」と吐露した。
それもそのはず昨季、浦和は首位に立ったものの、最終的に日テレ・東京ヴェルディベレーザに抜かれ、2位となった。
南にとって日テレ・東京ヴェルディベレーザは「絶対女王」「いつか倒さなければならない相手」と打倒ベレーザに燃えていた。そのことが「チームの成長へとつながった」と南は語る。
その南、今季、センターバックとして15試合中、14試合に先発出場。うち13試合でフル出場。守備の要としてチームを支えた。
ことしの強さの理由について南は勝負強さを挙げた。
「昨年はギリギリのところで1点差で負けたり、後半に同点に追いつかれたりした。しかし、ことしは1点差で勝つことができている。勝点3を取ってきた、その積み重ねが活きている」と話した。
その勝負強さの要因のひとつが相棒・長船加奈との連係だ。ここまでリーグ最少失点「14」だが事実上、南&長船の2バック。昨季は息があわず、苦慮したがいまは「リスクを楽しみながら、プレーしている」と余裕が出てきた。
長船とのプレーについて南は「フネさん(長船)は対人に強いので、そのとき、私はうまくカバーリングに入って、逆に私が人に行くときは後ろでカバーしてもらっている。ハッキリ、役割ができている」とお互いの特長を分かり合えているからこその芸当だ。
しかし、ユニットだけうまくいってもここまでは勝てない。
やはりチーム全体の試合に向けるムードが昨季とずいぶん変わった。
南は「昨年は優勝を意識しすぎて緊張しすぎて、張り詰めた雰囲気があった。今年は序盤、中盤と全員が意識しすぎず、プレーできており、いまも良い意味でリラックスして戦えている」とし、チーム全体の高い成熟度が感じられる。
前回優勝した14年。南は2種登録の選手として優勝を体感した。しかし、どこか他人事で実感がなかったという。だが、今回は違う。主力として優勝を迎える。
「いつも通りのサッカーをすることが大事。プレッシャーを感じず、楽しむことを忘れないようにしたい」。21歳の南から笑顔がこぼれた。
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