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浦和レッズレディースニュース|皇后杯でつかんだ手応え。1年の収穫|レッズプレス!!

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皇后杯でつかんだ手応え。1年の収穫

柔和な浦和レッズレディース・森栄次監督が勝負師の顔をのぞかせた。それは試合前に配られるメンバー表から感じられた。

4−4−2の布陣。2トップにはFW菅澤優衣香と高橋はな……。これは皇后杯準決勝 INAC神戸戦、2−1の劣勢となった後半12分からの布陣だ。布陣を変更してから、3−2の逆転劇が始まった。

この布陣、陣容を頭からいきなり女王・ベレーザにぶつけてきた。

メンバー表を見れば、浦和は長身揃い。

スタメン中、165センチ以上の選手を見るとベレーザは170センチのGK山口杏也加のみ。一方、浦和は8人。たとえ技術で劣っていても、前線からの起点やセットプレーなどで、空中戦で優位に立って勝負する意図が感じられた。

ただ、唯一の失点が狙いだったはずのセットプレー。さらにそれが出はなの前半7分だったのが大きな痛手となった。

始めから惜しげもなく『奥の手』を出したものの、結果、目論見は外れてしまった。もし準決勝のように4−2−3−1でスタートし、勝負どころでパワープレーにしたなら、違った展開になっていたかもしれない。

焦りはミスを生み、ミスはピンチを生むもの。

技術の高さ。身体の強さ。視野の広さ。“阿吽の呼吸”のような連係。怖さを抱かせるゴールへの迫り方。そして決定力の高さ。

「相手はやっぱりうまかった」とDF佐々木繭。この言葉通り、時間の経過とともに、ベレーザとの差がありありと出てしまった。

ただ、今季の浦和の成長が感じられた。後半、選手が投入されるたび、あるいは時間の経過とともに中盤の構成を変えながら、選手が動き回った。しかも大きくバランスを崩すことなく。つまり、ベースを遵守しながら、ピッチ内の選手が考えながら、プレーしていたこと。これは大きな収穫だ。

さらに、きのうのような展開なら、最終ラインにロングボールを蹴って、走りこんでも良かったはずだが、それをあまりやろうとしなかった節がある。
つまり、森監督同様、選手たちも「いまのサッカーで、1年間、やり続けたこのサッカーで勝ちたい」という信念、悪く言えば、こだわりを持ってプレーしていた。

会見で森監督はこんな言葉を残している。

「正直、準優勝は出来過ぎというか……皇后杯でここまで来るとは思わなかった。思った以上に選手はやってくれ、驚きはある。ここまで食らいついてくれた。もっと時間がかかると思っていた」。

この1年、チームの方向性をしっかり示し、浸透した。森監督のサッカーを選手が信頼している証拠。

これは選手も同じ。MF栗島朱里は「ここまでやれるとは思わなかった。本当に楽しかった」と手ごたえのひとこと。ただ、内容が良くても、結果が出せなければならない。善戦チームでは面白くない。それは重々承知。

「タイトルは獲れていない。来年もあるので……上乗せして『最強』のチームになりたい」(栗島)。強がりではない。じゅうぶん狙える。そんな表情がなんとも頼もしかった。

選手にそう思わせたこと。これがこの1年の収穫であり、来季への期待につながる。

(佐藤亮太)

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