今週末9月16日(日)、浦和レッズレディースは2018プレナスなでしこリーグ1部の後半戦初のホームゲームを迎える。浦和駒場スタジアムにマイナビベガルタ仙台レディースを迎え、第11節(14時キックオフ)に挑む。
前節の第10節ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦は9月9日(日)、1515人のファン・サポーターが見守る中で行われ、スコアレスドローに終わった。チームはなでしこジャパンや世界を制したU−20日本女子代表に主要選手を送り出しながらも、オランダ遠征を経験しながら、公式戦に向けて準備を進めた。
そして、練習の末に出した1つの答えはフォーメーションの変更。中盤にアンカーを置き、枚数を増やす中で、失点ゼロを強く意識しながらゴールを狙うスタイルとなった。順位に開きはあるが、第9節を終えて、首位に立つ日テレ・ベレーザとの勝ち点差がわずか2であったため、確実な戦い方で確実に勝ち点を重ねたいという狙いを感じる。
結果的に静=前半、動=後半という図式ができるジェフ市原・千葉レディース戦となった。失点ゼロという狙いはクリアしたが、攻撃面で課題を残した。前半は攻守の切り替えが速く、セカンドボールを奪い切ることはできた。そして、なでしこジャパンでアジア競技大会での金メダルに貢献した菅澤優衣香の個人技でボールが前線におさまるも、二次攻撃が少ない。左サイドバックに位置した北川ひかるは「(菅澤優衣香に)任せきりだった」と振り返る。ジェフ市原・千葉レディースも積極的に攻めるチームではないため、単調な戦いが続いた。
浦和は後半、前線にスピードとドリブルに定評のある清家貴子を投入。サイド攻撃が活発になり、いくつかのチャンスに恵まれた。それは見慣れたスタイルではあるが、悩ましいところ。石原孝尚監督は「選手のキャラクターもあるから、後半みたいな、ああいうパワーでもいける。ただ、前半はやはり中盤タイプというか、選手多く使いながら行けたらなというところは思う」と話し、「運試しではない戦いを」という言葉も残している。
選手個々の特長を考えると、後半のスピーディーな戦いは計算ができる。ただ、石原監督が「選手たちが頑張って成長しているから選べるシステムなので、そこは続けたい」と話す通り、チャレンジしがいはある戦いが前半にはあった。選手育成、チームの戦い方を広げる挑戦と、現実問題となる勝ち点の積み上げ。このバランスを、どのように考えるかは指揮官に託すしかない。
そういう点で、指揮官が理想を貫くには勝ち点という結果は重要になる。ジェフ市原・千葉レディース戦は勝って、さらなる課題克服を目指したかった。再開試合は勝ち点1となったが、ホーム浦和駒場スタジアムでは、チームの今をしっかりと見せてもらいたいものだ。
《石原孝尚監督》
久々の公式戦ということもあり、前半は硬さもあったし、選手たちが慎重に行っている中で、(慎重に)行き過ぎていた感もあり、なかなかゴールに結びつくところがなかった。後半にはそういう話もしながら、大胆に行った中でも得点できず、(その分)ピンチもあったが、しっかりと粘って、勝ち点1を取れたのは良かったかなと思う。ただ、悔しさもあるゲームだった。
交代して出ていった選手たちがパワーも積極性もあるので、そういうところで決めきれれば、また変わってくると思うが、そこは次しっかりと修正し、みんなで取り組んでいきたい。
後期の試合に入るにあたり、ゲームを安定させ、より失点を減らしながら得点をというところを取り組んでいるので、そういう意味では失点ゼロというところもそうだし、前半、守備のところはコントロールしながらやれていた。それを、いかに攻撃につなげてというところはまだまだ成長できる部分なので、そこは続けていきたい。
(松本真未子の起用は)池田がずっと代表で離れていたのもあるし、彼女(松本真未子)がこの夏、成長してくれていた部分もあった。きょうの試合も積極的にやってくれていたので、今後も続けていってほしい。優勝というところではベレーザも勝っているので、1試合も落とせない状況だと思う。しっかりと勝ち切って終わりたい。
《菅澤優衣香》
相手にやられたという感じはなかったので、本当に自分たちの最後の決定力が足りなかったのかなというところ。蹴り込むだけじゃダメだし、パスを回しても、相手が引き出てこないところで、またどう作っていくかというのが、ちょっときょうは難しいところだった。後半戦の残り8試合、その中で少しずつ修正して、自分たちのサッカーの形が出来れば。
最初は簡単に立ち上がりなので相手も勢いがあるので、裏に簡単にいこうとやっていて、その中でどの時間帯からパスをつないでいくかとか、そういうのは難しいところがあり、そこは自分たちでもう少し修正できたら良かったかなというのが前半にあった。
(清家が入ってからは)きょうのジェフみたいな相手は、中は結構しっかりとやっているので、逆にサイドは狙い目だったので、そういう中で後半は清家がうまく駆け上がっていたし、左からもちょっと攻撃が出来ていたので、そういうところを前半の途中から自分たちで見つけ
てやっていけたら良かったのかなと思う。
自分たちも成長していかなければいけないところだと思う。(チャレンジを)中断期間で出来たら良かった。中断期間と試合が始まってからはまたちょっと違う部分もあるので、そこは難しいところでもあるけれど、少しずつ、また1試合1試合積み重ねて修正できたら良いのかなと思う。
なかなかオフはないけれど、コンスタントに代表にも呼んでいただいて、試合にも出させていただいていて、その中で今回の大会はFWとして結果を出せた。アピールの場にもなったし、自分自身、自信になる大会だったのかなと思うので、それをうまくチームで出していけたら良いのかなと思う。
《北川ひかる》
(コーナーキックのキッカーは)もともと決まっていたが、(栗島)朱里さんが蹴ることが多かったので、「キタに代わって」みたいな感じで言われて蹴って。かなり入りそうだったので決めて欲しかったですけど(笑)、あれが点につながれば良かったなと思う。ヘディングが強いから中は任せたという感じだった。
(新しいフォーメーションは)ゆっくりとボールを回していく中でどこでアクションを入れていくのかというところが明確ではないという点と、(菅澤)優衣香さんに任せっきりというところもかなりあったので、そこは工夫していかなければいけないことだと思う。アイディアが足りないというか、フォーメーションにまだまだ慣れていない面もあるのかな?後半のほうが良かったなと思う。
(清家)貴子が入ってスピードを生かして押し込んでくれた部分もあって、後半のほうが上がりやすさはあったが、もっと連係の部分かなと思う。引き分けでも足りないと思うので、もっと勝ち点を取っていかなければいけないと思っているし、もっとシュート数を増やしたり、積極的にシュートを打っていくことが勝利につながるかなと思う。
《高橋はな》
まずはゴールを目指すこと。自分らしくやってこいと言われた。裏にどんどんと出ろということも言われたし、そういう意味で前に行く意識はできたが、もっとチャンスも作れたし、しかも決め切る場面で決め切らないと。反省は多い。
《松本真未子》
後半戦のスタートを良い形で切れるように、私個人的には無失点を心掛けて入ったが、チームが勝つことが理想だった。チャンスはコーナーキックが数多くある中で決めきれなかったのは課題。その中での守備に関しては失点ゼロに抑えられたのは1つの成果かなと思う。個人として強気でいく、球ぎわというところで負けなくはない気持ちがあったので、それがプレーに出たのは良かった。この1カ月準備してきたことと言えば、よい面で出たと思うが、課題はまだある。少しでも突き詰めたい。セカンドボールはうまく拾えていたので、相手に自由にさせなかった。
《柴田華絵》